ドイツサッカーと新型コロナ感染 陽性反応のハノーファーDF「遠い世界のことが…」

ハノーファー会長は所有ホテルに選手を宿泊させるプランを考えているが…

 今週の木曜日(26日)からこうした措置も解除され、トレーニングが再開される予定だ。そしてクラブではどのように練習を行うかで、ディスカッションがされている。しっかりとした準備をしておかないと、また誰かが感染してしまったら、同じことの繰り返しになってしまう。

 そこでハノーファーのマルティン・キント会長は、自身の持つホテルに選手を宿泊させるプランを考えているという。関わる人数が少なければ少ないほど、感染の可能性を下げるのは確かだ。チーム活動をホテルと練習場の行き来だけに限定してしまえば、感染予防の措置もやりやすい。またトレーニングは普段のスタジアム近くではなく、育成アカデミーで行うことも検討されている。育成選手は活動中止中。施設全部を使用することができる。

 一方、14日間自宅で隔離されていた選手が、今度は家族から離されてホテルに軟禁状態になるのは、精神面で相当のダメージになることも懸念されている。

 チームトレーニングを実践するためには、それが唯一の可能性ではないかと見られているが、ではそこまでして今すぐにチームトレーニングを再開することが最適解なのだろうか。外に出ることも許されなかった選手たちからすれば、まずはグラウンドで少人数でも、それこそ1人であってもボールを蹴ることができる環境があれば、だいぶ違う。

 リーグ再開の目処も立たない現状では、すぐに通常の活動に戻すことが必要なのではなく、焦ることなく、できることを無理のない範囲でやっていくことが望ましい。首脳陣もそのことは、十分よく分かっているはずだ。

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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