19歳FWの衝撃、なぜそんなに得点を取れるのか ゴール量産を支える“迷いなき決断力”

完璧なシュートでなくても「決まる」という確信

 ハーランドはサイズの割には速いが、スピードスターという感じではない。ペレのような曲芸的なテクニックの持ち主でもない。長身なのでヘディングは強力だが、それ専門というわけでもなく、足で取ったゴールのほうがずっと多い。点を取れることは証明しているのだが、なぜそんなに取れるのかはよく分からないところが面白い。

 ポジション取りがいいので、よくGKと1対1になる。その時の決定力が高いのは、特長といえばそうなのだろう。シュートに迷いがない。ただ、ジャン=ピエール・パパン(元フランス代表FW)やガブリエル・バティストゥータ(元アルゼンチン代表FW)のような、決め打ち感はあまりない。パパンやバティは、ここへ打つと決めたコースへ力一杯蹴って叩き込んでいたものだが、ハーランドのシュートはGKのすぐ脇や足の間を抜けている得点もけっこうあって、いつも完璧なコースへ蹴っているわけでもない。

 体が大きいのと懐から蹴り出すようなキックが、一種のフェイントとしての効果を発揮しているのかもしれない。ただ、シュートの決断に全く迷いがなく、当然決まるものと確信して打っている印象である。完璧なシュートでなくても、タイミングやコースから「決まる」と分かっているように見える。

 まだ、底が見えていない。ともあれ、驚異的な得点ペースなのは確かだ。そして、U-20W杯の1試合9得点がそうだったように、どうしてそんなに取れるのかはよく分からない。だが、理由なんぞはっきりしなくても点が取れている事実こそがゴールゲッターの価値であり、どこまで快進撃が続くのか目を離せない選手である。

page1 page2 page3

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング