香川真司と久保建英、“スペイン初対決”の明暗 「サラゴサの祝祭」で上げた復活の狼煙
【スペイン発コラム】新旧日本代表MFが国王杯で激突、開始直後から歴然だった差
MF香川真司を擁するリーガ・エスパニョーラ2部のサラゴサと、MF久保建英がプレーする同1部マジョルカのカテゴリーの垣根を越えた“日本人対決”が、現地時間21日のスペイン国王杯ラウンド32で実現した。
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サラゴサは週末の2部リーグ第24節ミランデス戦が大雨のため延期になっていた。そのため消化試合が1試合少ないなか、11勝6分6敗の勝ち点39で、1部昇格プレーオフ圏内の4位と好位置をキープ。中6日の日程で、このマジョルカ戦を迎えていた。
一方のマジョルカは、19日のリーグ第20節でバレンシアと対戦。久保がリーグ戦で9試合ぶりのベンチスタートとなったなか、チームは強豪相手に4-1の圧勝を収め、降格圏からの脱出に成功した。しかしサラゴサ戦はマジョルカにとって、試合間隔がわずか中1日の53時間。さらにアウェーゲームで前日入りしているため、休みも準備時間もほとんどなく、非常にハードなものになっていた。
この状況を受けてビセンテ・モレノ監督は、バレンシア戦でスタメンだったGKマノロ・レイナ、DFアントニオ・ホセ・ライージョ、DFルモール・アグベニェヌ、MFイドリス・ババ、MFサルバ・セビージャ、MFダニ・ロドリゲス、FWクチョ・エルナンデス、FWアンテ・ブディミルの8選手を招集外とし、大幅なターンオーバーを行う意図を明確に示していた。
現地時間19時キックオフの試合は、直前まで降り続いた雨が止むなかでスタート。平日開催のカップ戦というただでさえリーグ戦よりも客足が遠のく状況に、寒空や試合前までの雨という悪条件が加わり、観客数はスタジアムのキャパシティの5分の1以下となる6000人を割っていた。
サラゴサが14日のリーグ第23節ラス・パルマス戦(1-0)から先発7人を変更したのに対し、マジョルカはバレンシア戦からスタメンを総入れ替えして臨んだ。香川は公式戦3試合連続出場、久保は公式戦3試合ぶりのスタメンとなった。
両チームともにリーグ戦を優先させ、大きくメンバーを落としたが、マジョルカのモレノ監督は普段、控え選手にほとんどチャンスを与えていないため、頻繁にメンバーを変更しているビクトル・フェルナンデス監督率いるサラゴサとの力の差は、キックオフ直後から歴然となった。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。