「中国戦出場13人」を金田喜稔が採点 アピール成功の国内組、“疑問を残した”選手は?

(左から)佐々木翔、鈴木武蔵、橋本拳人、森島 司【写真:Getty Images&高橋学】
(左から)佐々木翔、鈴木武蔵、橋本拳人、森島 司【写真:Getty Images&高橋学】

日本代表がE-1選手権初戦で白星発進、先制弾の鈴木は「自分の世界を作った」

 日本代表は10日に、韓国・釜山で開催中のE-1選手権初戦で中国と対戦し、2-1の勝利を収めた。今大会は国内組のみの招集で、22歳以下の東京五輪世代が23人中14人を占めるフレッシュな顔ぶれ。中国戦では3選手がスタメンでのA代表デビュー、システムも五輪世代で採用されている3-4-2-1で試合に臨んだ。

 序盤は中国に押し込まれた日本だったが、徐々にリズムをつかむと、前半29分に左サイドのコンビネーションからFW鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)がA代表初ゴールとなる先制点を奪取。後半25分にもセットプレーから、DF三浦弦太(ガンバ大阪)がやはりA代表初となるゴールを決め、終盤に1点を失ったものの2-1で逃げきった。

 国内組のみの若いメンバーによる一戦を、識者はどのように見たのか。1970年代から80年代にかけて活躍した「天才ドリブラー」で、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏に、中国戦に出場した全13選手を5段階で評価してもらった(5つ星が最高、1つ星が最低)。

   ◇   ◇   ◇

<FW>
■上田綺世(鹿島)=★★★

 最前線で攻守においてものすごい運動量で汗をかき、先制点の起点になるなどチームの勝利には貢献したが、もう少しシュートが欲しかった。コパ・アメリカの時は巧みな動き出しで多くのチャンスを作りながらシュートを決めきれないシーンが多かったが、今回は急造チームの中で時間もなく、コンビネーションがあまり構築されていなかったため、シュートチャンス自体を作れていなかった。能力は高い選手だけに、もう少しパサーに対して動き出しのタイミングやパスコース、駆け引きといった自らの特徴を伝え、大会の中で連係面の精度を上げていってほしい。

<MF>
■鈴木武蔵(札幌/→後半27分OUT)=★★★★

 2シャドーの一角として先発し、ボールを引き出す動きや体を張ったポストワークで攻撃にリズムを生んだ。何よりも前半29分の先制点のシーンでは、左サイドで上田、森島とパスがつながるなか、一瞬の駆け引きでマーカーをぶっちぎった。あのスタートダッシュを切れれば、どんなDFが来ても自分が先にボールを触れるという“自分の世界”を作れる。鈴木らしさは、以前に比べたら代表でも出せるようになっており、何よりもストライカーとして初得点を奪えたのは大きい。大会初戦の先制点という意味でも、チームを波に乗せる一撃だった。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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