“手遅れ”になる日本代表 動かないベンチ、戦術に忠実な選手…悪癖はなぜ治らないのか

ベネズエラ戦で前半4失点した日本代表【写真:高橋学】
ベネズエラ戦で前半4失点した日本代表【写真:高橋学】

ベネズエラ戦では前半だけで4失点 柴崎に“全責任”はない

 ベネズエラ戦後、柴崎岳の「全責任は自分にある」という発言に少々驚いた。

 前半で4失点、日本のハイプレスは全くハマっていなかった。そこで修正ができなかったことに柴崎は責任を感じていたようだ。ただ、彼の責任がすべてではなく、責任はあっても「半分」だろう。

 前半、日本はベネズエラのビルドアップを阻止できていなかった。4-3-3のベネズエラに対し、4-4-2で守る日本は2トップが相手のセンターバックにプレッシャーをかけている。しかし、ベネズエラはボールを前進できそうもない時に、アンカーがセンターバックの間に下りてきてフリーとなってボールを預かっていた。プレッシングはパスが渡る可能性のある相手をすべてマークするのが基本だから、フリーマンが発生した時点で失敗している。失敗しているのに強行しようとして、どんどんマークがズレていった。

 後半、そこは修正できている。プレス強度を上げるとともに、フリーマンになるアンカーにもマークがついていた。これでベネズエラのビルドアップは行き詰まり、ロングボールを蹴らせて回収という日本の守備の流れができた。

 ただ、これもリスキーではある。ベネズエラのトップを務めたサロモン・ロンドンは、非常にボールの収まりがいい。後半にプレスを徹底させた日本のフィールドプレーヤーは基本的にマンマークを10個作っているが、ロンドンにロングボールが入って1対1を制されていたら危なかった。まあ、すでに4点差なので、そのぐらいのリスクは負わなければいけないが、さらに点差が開く可能性もあった。

 ハイプレスを敢行するなら、基本的にDFは余らない。ただし、パスが渡る可能性のない相手を意図的に作れれば、DFを1人余らせることはできる。しかし、基本は「マンマーク×10」になるリスクは承知していなくてはならない。また、ハイプレスによって自分たちのフォーメーションが変わることもありうる。

page1 page2 page3

西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング