急成長する“欧州視点”で見た「女子サッカーの未来」 現地を知る日本人指導者の提言

「ベースとなるリーグが、もっと対等に欧州各国と付き合える立場になるべきだ」と主張した【写真:中野吉之伴】
「ベースとなるリーグが、もっと対等に欧州各国と付き合える立場になるべきだ」と主張した【写真:中野吉之伴】

日本女子サッカー発展のため「リーグが対等に欧州と付き合える立場に…」

「今回のワールドカップで日本代表がどういう結果を残すのかというのは、サッカー界にとっても、当事者にとってもすごく大切なこと。でも長期的な日本の女子サッカーの発展を考えると、なでしこの代表の結果だけを追うんじゃなくて、女子サッカーに関わっている関係者がいかに外の世界との知識交流を進めるかが大事じゃないかなと思うんです」

 そして交流は一方通行に学びに行くだけではなく、相互に行き来が生まれてこそ活性化する。ヨーロッパや南米のすべてが素晴らしいわけでもない。日本にも海外が学ぶべき点は、間違いなくあるのだから。「ベースとなるリーグが、もっと対等にヨーロッパの各国と付き合える立場になるべきだ」とモラスも主張していた。

 もっと上手くアピールし、もっと積極的にプレゼンして、世界の人たちが『おお、なでしこリーグ凄いよね。学びに行こう!』となったら、素晴らしいではないか。そして風通しの良い相互交流ができるようになったら、他国のことにももっと興味を持って触れ合いたいと思う人が増えてくるのではないだろうか。それぞれの良さを認め合い、そこから新しいものを生み出すことだってできるはずだ。

 日本と世界を感じられるW杯――。そうした目線で、今大会に注目するのも面白い。(文中敬称略)

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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