激震の神戸より“危機的”なのは浦和? イニエスタ不在の一戦で見えた根深き問題

戦術以前に深刻な展望なきチーム作り “次世代との断層”は明らか

 最近のJ1リーグでは川崎フロンターレを筆頭に、FC東京、横浜F・マリノスなどが「いかに攻め切るか」を明確に掲げているため、余計に浦和の消極志向が際立った。だが浦和の場合、戦術以前に深刻なのが、将来的な展望に基づくチーム作りである。

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 かつてフォルカー・フィンケ時代(2009~10年)には、日本一に輝いたユースから大胆に若い選手を引き上げ、チームに新風を吹き込んだ。一方、ミハイロ・ペトロビッチ監督(12~17年/現・北海道コンサドーレ札幌監督)が就任すると、サンフレッチェ広島時代に指導した柏木陽介のほか、同じく教え子の槙野智章、西川周作らを次々に獲得し、彼らが現在の中核を担っている。しかし、彼らがベテランの域に入った今、明らかに次世代との断層ができている。

 一昨年はアジアを制し、昨年は天皇杯優勝でなんとか面目を保った。だが例えば鹿島アントラーズは、勝っている間に次の準備を施してきたから20冠が積み上がった。そして本来クラブの規模を考えれば、浦和のポテンシャルが鹿島に劣るはずはない。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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