その言葉は徐々に熱を帯び、覚悟がにじんだ。

「全身全霊で戦わないといけない。初戦を戦って、緊張はほぐれた。多湿で、お互いにとって苦しくなると思うけど、チャンスはある。相手は必死にやってくる。走りきる覚悟をもっておかないといけない」

　ギリシャは当然、初戦の日本対コートジボワール戦を参考に、サイドからのクロスを多く入れてくることが予想される。だが、吉田はその対応に自信をのぞかせた。

「細かいことは話せないけど、もちろん修正するつもりです。コートジボワール戦も、終わってからしっかりと話しているので。あとは試合を見てもらえればいい」

　なりふり構わず、ただ勝利だけを見据える男は、「何より」、「とにかく」と「勝ち点3」を組み合わせてそれを強調した。

「何より大切なのは勝ち点3。とにかく勝ち点3を取ることを最優先にしていきたい。勝ち方は気にしていない」

　スタジアムの名前にもなっている街の中には「砂丘」も広がる。高温多湿の過酷な環境下で試されるのは、勝利への意志。吉田麻也は誰よりもそれを渇望していた。

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文　text by Soccer Magazine ZONE web

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