チェルシーを変貌させた「サッリ・ボール」 リバプール戦で見えた新戦術の真髄とは?

リバプール戦でアザールが決めた先制点のシーン【図:Evolving Data】
リバプール戦でアザールが決めた先制点のシーン【図:Evolving Data】

相手を無力化する絶妙なパスワークと“ハーフスペース”の攻略

 DFダビド・ルイスが最終ラインからピッチ中央のFWエデン・アザールに縦パスを通すと、アザールは反転しながらバックヒールで落とし敵陣へと加速。ボールを受けたMFマテオ・コバチッチはセンターサークル内でジョルジーニョに横パスを出すと、ジョルジーニョがワンタッチで戻してマーカーを翻弄。フリーで前を向いたコバチッチは、左の“ハーフスペース”を全速力で駆け上がるアザールへ完璧なスルーパスを送り、最後は抜け出したエースが左足できっちりとゴール右隅に決めた。

 キーマンであるジョルジーニョに対し、リバプールMFジョーダン・ヘンダーソンが徹底的にマークしていたなかで、D・ルイスからボールを受けたアザールがワンタッチで反転したプレーや、コバチッチとジョルジーニョがパス交換でマーカーを剥がしたシーンは、今季のチェルシーが得意とする縦横の揺さぶりや緩急を最大限に活用した崩しと言える。

 さらには、コバチッチから“ハーフスペース”を走るアザールへ縦パスが出されたシーンにも、今季のチェルシーの真骨頂が見て取れた。

 ハーフスペースとはピッチを縦に5等分し、両端と中央のレーンを除いた場所を指すが、チェルシーが敵陣中央を攻略した瞬間、左からDFマルコス・アロンソ、アザール、コバチッチ、FWオリビエ・ジルー、FWウィリアンと全レーンに一人ずつがゴールを向いた状態でポジションを取ることに成功していた。半身の体勢で待ち受けるリバプールDF陣や、裏を取られて追いかけるしかないリバプールDFトレント・アレクサンダー=アーノルドにとっては酷な状況だ。

 リーグ最少失点数「2」でこの試合を迎えたリバプールの最終ラインすら混乱に陥れたサッリ監督率いる新生チェルシーは、プレミアリーグ開幕後の公式戦はいまだ負けなし(7勝2分)。各チームが対策を講じてくるシーズン中盤戦へ向けて、サッリ監督が次なる一手をどのように繰り出してくるのか見ものだ。

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Evolving Data

日本初のサッカー選手データメディア。現在はチームや選手のバイオリズムに加え、選手の人生を踏まえた選手名鑑を作成中。データを活かした『パラメータ』に加え、オウンドメディア内でのライブ配信も行う。
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