柏戦で証明されたイニエスタ加入の“相乗効果” 対戦相手が感じた“周囲の変化”とは?

柏レイソルのMFキム・ボギョン(左)、MF細貝(右)【写真:Getty Images】
柏レイソルのMFキム・ボギョン(左)、MF細貝(右)【写真:Getty Images】

イニエスタへの警戒を逆手に取る“相乗効果”が具現化

 とはいえ、この試合でイニエスタが放ったシュートは前半のミドル1本のみ。得点を奪われたわけでもなければ、得点に直結するスルーパスを出されたわけでもない。

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 ただ、加藤望監督が「イニエスタ選手にボールが入ったから怖いのではなくて、その周りの選手の動きの方が怖かったので、そこをケアするように伝えた」と振り返ったように、柏がより警戒していたのは周囲である。実際に試合前々日の囲み取材でも、加藤監督はイニエスタ加入による相乗効果が働き、「他の選手の力を引き出すのではないか」と周囲への警戒の姿勢を崩さなかった。

 後半21分の神戸の得点シーンを振り返ると、神戸のDF渡部博文がボールを持った瞬間、細貝は「イニエスタにボールが入った時に、中へのスルーパスを防ごうとした」とイニエスタを経由して攻撃を仕掛けてくると予測し、インサイドへ入っていく背番号8の背中を追いかけた。だが結果的に柏は中央のパスコースを開けてしまい、神戸の最終ラインから前線への縦パスを射抜かれる。渡部自身が「左足のスルーパスなんて初めて出した」と照れ笑いを浮かべながら振り返った最高のパスは、イニエスタに釣り出された柏の動きを逆手に取ったものだ。つまり、イニエスタ加入の“相乗効果”が働いたと言っていいだろう。

 細貝は「あそこで縦を切っていれば…」と悔やんだが、もしマークを外して縦パスのコースを切っていたとしたら、おそらく渡部はマークの浮いたイニエスタにパスを入れていたに違いない。そうなれば、柏にとってまた違った形の危険なシーンを作られていた可能性は十分考えられる。

 スーパーな選手をいかに封じるかというテーマだけではない。今後イニエスタがチームにアダプトするに従い、神戸の対戦相手は周囲の選手の力を引き出す“相乗効果”にも苦しめられることになりそうだ。

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