ザンビア戦後にザッケローニ監督が浮かべた渋い表情の裏側を読み解く データが示す「ワントップ大迫」の有効性とセカンドボールで競り負ける課題

 必ずしも良くない戦況をベンチワークで克服しつつ、4対3と逆転勝利したという面ではそれなりに成果があった。この試合で大久保の存在が更にクローズアップされるはずだが一番のポイントは大久保の決勝点ではなく、試合終了後のザッケローニ監督の、何とか乗り切ったが内容には満足していないという渋い表情だ。

 ザッケローニ監督の渋い表情の裏側と、最後に修正すべき点をデータから見ていこう。

 サッカーの戦術を語る時、ピッチを3つに分けて説明すると分かりやすい。自分のゴールに近い方からディフェンシブサード、センターサークル付近のエリアのミドルサード、そして相手ゴール前近くのアタッキングサードだ。

 それぞれのエリアに応じてプレーにも優先順位がある。ディフェンシブサードは言うまでもなく守備のエリアであり、相手の攻撃を防ぐこと、そして安全にボールを前に運ぶことを要求されるエリアだ。ミドルサードは守備においては相手の攻撃方向を限定し、攻撃においてはシュートに繋がる組立てをお膳立てするエリア。そしてアタッキングサードは文字通り攻撃の最後の仕上げ、即ちクロスボールであったり、スルーパスであったり、シュートを狙うエリアとなる。

 自分たちがボールを保持している状況でパスは平均的にはディフェンシブサードで25%~30%、ミドルサード40%~50%、そしてアタッキングサードでは25%~30%のパスが繋がる。

(※全体のパス数を100%とした時の各エリアで行われたパスの構成比)

 日本代表は通常、1試合で約500本のパスが回り、アタッキングサードでは150本前後のパスが回る。しかしザンビア戦ではアタッキングサードでのパスは100本強で全体の約20%と必ずしも多くはなかった。

 守備の陣形がコンパクトで最終ラインと中盤の4枚が常にしっかりブロックを形成していたため高いエリアにボールを入れられなかったのだろう。そんな中で気になったのはワントップの選手の関わりだ。

 柿谷にはアタッキングサードで7本のパスが出ているが、そのパスのうち味方に繋げられたのは2本だけだ。もちろんシュートも勝負をかけたクロスも狙っていたので積極的なボールロストも含まれているが高い位置での起点という意味では物足りない。

 

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