「10%の気持ちで」 広島を4連勝に導いた佐藤寿人の執念

横浜FM撃破で広島は4位に浮上

 サンフレッチェ広島は29日、敵地で行われたJリーグ第8節、横浜Fマリノス戦で2-1と勝利を収めた。FW佐藤寿人の決勝ゴールにより、広島は怒濤の4連勝をマークし、順位も4位に浮上した。

「今日は息子から試合で3点取ったんだっていう連絡がきて、負けてられるかって思ってさ」。佐藤は安堵感を滲ませた笑顔でそう口にした。

 試合は開始早々の前半4分、相手FW伊藤翔に先制弾を許す。しかし前半27分に右サイドからMFミキッチがクロスを送ると、FWドウグラスが左足で流し込み同点。後半21分には右サイドからのMF柴崎晃誠のFKにDF水本裕貴が合わせたこぼれ球を佐藤が体で押し込みネットを揺らした。

「ベンチで浅野が準備しているのが見えて、最後のワンプレーだと思った。今日も取れないかという思いが90%の中で、残りの10%の気持ちで、来い!と構えていたら、ボールが転がってきた」

 開幕以来の待ちに待ったゴールだった。今季2得点目は値千金の決勝ゴールとなった。佐藤は「20代頃に比べて出来ないことも増えてきて、現に出場時間やシュート数も減っている。その中で何が出来るかを前向きに考えたい」と力強く語った。2004年から11年連続2桁得点を達成している男にとって、待ちわびたゴールの瞬間は格別なものだったに違いない。

 得点直後に交代した背番号「11」は森保監督と熱い抱擁を交わした。試合終了後にはサポーターの元に駆けつけ、隅から隅まで丁寧に挨拶に回った。今年33歳を迎えたMr.サンフレッチェだが、これからも最前線で広島に歓喜を呼び込むことになりそうだ。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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