年俸2億円から3500万円への大幅減 城彰二をスペイン挑戦に突き動かした“夢”の力

「リーガでプレーしてみたい気持ちが勝った」

 横浜マリノスに移籍した1997年から3年連続でシーズン二桁得点を記録し、98年にはリーグ2位の25ゴール、翌年にも同2位の18ゴールを挙げた城氏。当時日本トップクラスのストライカーも、異国の労働基準法により約6分の1という大幅な減額を受け入れなければならなかったという。それでも、24歳の青年は迷うことなく夢を選んだ。

「『これしかお前にやらない。それでも行くか』と訊かれました。でも、僕はスペインリーグが世界のトップだと思っていたし、とにかくリーガでプレーしてみたいという気持ちが勝りました。次の年、税金が大変でしたけどね(笑)」

 まだ日本人選手にとって海外挑戦が身近ではなかった時代、こうしてリーガ史上初の日本人プレーヤーが誕生した。

 その後、城氏は2000年1月16日のヌマンシア戦で途中出場してリーガデビューを飾り、2月27日のオビエド戦では2ゴールを挙げて日本人リーガ初得点もマーク。同年に横浜マリノスに復帰するまで、通算15試合2得点の成績を残した。

 現在、日本代表MF乾貴士(エイバル)やMF柴崎岳(ヘタフェ)らがリーガで活躍し、認められる存在となっているが、もし先駆者の城氏が18年前に異なる決断をしていたら――。スペイン挑戦を夢見る日本人選手たちの将来は、また違うシナリオになっていたかもしれない。

【了】

小田智史●文 text by Tomofumi Oda(Football ZONE web編集部)

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

 

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