「語り継がれる試合」に見た名門リバプールの美学 現代でも“面白い試合”はできる

精緻なシティと異なるダイナミックな攻め方

 もっともリバプールのスタイルは攻撃的ではあったが、シティとは対照的だった。これも良かったと思う。

 GKも含めて巧みにパスをつなぎながら攻撃するシティのサッカーは、確かに美しいし強い。バルセロナ、レアル・マドリード、ナポリ、パリ・サンジェルマンもシティのようなサッカーができる。しかし、リバプールはそういうスタイルではない。センターバックやGKは少し相手に寄せられると躊躇なく縦に大きく蹴り出していた。その大雑把とも言える攻め方は、精緻なシティとは違うけれども、これはこれで効果的なのだ。

 ボールがシティDF陣の裏へ落ちれば、FWモハメド・サラーとFWサディオ・マネのスピードが生きる。シティDFにヘディングでクリアされた時も、ことごとくセカンドボールを拾えていた。リバプールのMFジョルジニオ・ワイナルドゥム、MFエムレ・ジャン、MFアレックス・オックスレイド=チェンバレンの中盤は、テクニックでシティの選手に劣っていても、競り合いに強く運動量もあった。

 もしリバプールがシティと同じようなビルドアップをやっても、相手のプレスに引っかかっていただろう。中盤を飛ばしてロングボールという攻め方に雑なイメージはあるものの、それでリスクを回避してチャンスにつなげていた。3トップのサラー、FWロベルト・フィルミーノ、マネの速さと技術を生かすという意味でも、縦に速い展開は理にかなっている。

 違う選手を集めて、違うサッカーをしても、シティやバルセロナのようなチームに対抗できる。攻め合っても勝てることをリバプールは示してくれた。

 

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