天敵アーセナルのFA杯優勝を願うトットナム

ライバルの栄光を願う皮肉

 アーセナルとトットナムは、不倶(ふぐ)戴天の天敵同士として有名だ。ノース・ロンドン・ダービーとして白熱する両者の対決だが、今季はトットナムがアーセナルのFAカップ2連覇を心から応援する状況になりそうだ。英衛星放送「スカイ・スポーツ」が報じている。
 アーセナルはFA杯準決勝で2部レディングを延長戦の末に、チリ代表FWサンチェスの2得点で破り、2-1で勝利を挙げて決勝に駒を進めた。5月30日、聖地ウェンブリー・スタジアムで行われる決勝では、準決勝でリバプールを下したアストンビラと対決することになった。
 これまでのシーズンはFA杯の優勝クラブが、リーグでの順位で翌年の欧州チャンピオンズリーグか、欧州リーグの出場権を手にしていた場合、準優勝のクラブがヨーロッパリーグの出場権を手にしていた。2003年にはサウサンプトンが、04年にはミルウォールが、11年にはストークが準優勝ながらヨーロッパリーグに出場していた。
 だが、来季からは規則が変更となり、UEFAは国内カップ戦の準優勝クラブに翌年のヨーロッパ・リーグ出場権を付与することを禁止した。このため、アストンビラは来季の欧州リーグ出場権を手にするには、決勝でアーセナルを破る必要があるという。
 もしも、アーセナルがFA杯で優勝すれば、欧州リーグ出場権はリーグ7位のクラブに回ってくるという。
 トットナムは現在勝ち点57で6位だが、5位リパプールから7位サウサンプトンまでの勝ち点差はわずかに1差。リバプールはリーグ戦の消化が1試合少ないために有利な立場にいるが、5位から7位の3チームによる欧州リーグ出場権争いはし烈を極めている。
 現在リーグ15位のアストンビラがカップ戦王者となってしまえば、来季の欧州行きの切符は一枠減ることになる。
 今季プレミアリーグは5月24日に終了予定だが、トットナムが7位フィニッシュの場合、1週間後のFA杯決勝まで、ライバルチームの栄光を願うという皮肉な状況に陥るかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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