トーレスが語るチェルシーとミランでの日々 「服を着たまま泳いでいた」

苦しみを乗り越えた先の歓喜

 アトレチコ・マドリードの元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスは、チェルシーとACミランでの地獄の苦しみを「ぬれた服を着たまま泳ぐようだった」と振り返っている。スペイン地元紙「エル・パイス」が報じている。
 2011年1月、リバプールからチェルシーに当時の英国史上最高額の移籍金5000万ポンドで加入した。だが、華々しいトーレスのキャリアは、この移籍を機に暗転した。チェルシーではリーグ110試合出場20得点と期待はずれに終わった。昨夏に加入したミランでは、右足首の捻挫などの影響もあり、わずか1得点しか挙げられなかった。トーレスは今 年1月、失意のまま、7年ぶりに古巣のアトレチコ復帰の道を選んだ。
 安住の地に戻ったストライカーは、もがけばもがくほど、泥沼にはまるような地獄の日々をこう回想している。
「スペイン人は、イングランドのリーグやミランでの短い期間の自分を見ていないから、疑いは理解できる。成績は見るけれど、実際のプレーと成績は違うこともある。数週間や数年間にわたり、うまくいかない状況に陥ってしまうこともある。まるでぬれた服を着たまま泳ぐような感じだった」
 メディアから批判を受け、サポーターからはブーイングを浴び、トーレスは本来の輝きを失っていった。
「自分がどんな選手であるか、いい選手であることも分かっている。でも、疑いは何度も何度もやってくるん だ」
 そうした日々を乗り越えたトーレスは、17日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のバイヤー・レバークーゼンとのセカンドレグに後半38分から途中出場した。死闘となった一戦は、延長PK戦にもつれ込むと、トーレスは5人目のキッカーとして登場した。これをゴール右隅に成功させ、逆転での8強進出に貢献した。本拠地ビセンテ・カルデロンを歓喜に導いたトーレスの汗でぬれた赤と白のユニホームは軽やかに見えた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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