友・田部和良に捧ぐ 人生という名の試合に最後に勝利したことを祈って

享年52歳。早すぎる永眠

「しょうがないよ。神様が決めたことだから」

 きっと田部は、今も天国でそう言いながら、前を向いて次のことを考えているに違いない。

 先日、アジアサッカーにおけるサッカーマネジメントに関するセミナーに参加する機会があった。今や多くの日本人選手がアジアでプレーし、その熱狂度、市場性からアジアサッカーは爆発的発展の前夜を感じさせる。その可能性を信じ、サッカーの魅力に取りつかれた多くの企業、資金が動くことだろう。

 田部は移住を決意した沖縄がアジアとの架け橋になる日を願って、今までそうしてきたように、これからも前を向いて歩いていこうとしたのだろう。

 これだけ多くの友人に囲まれ、新しいサッカーの未来を切り開いた田部の人生という試合は、諦めず闘った結果、勝利を手にしたのだと思う。惜しむらくはその試合がもう少し長く続いていて欲しかった。

合掌。

【了】

森本美行●文 text by Miyuki Morimoto

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