日本代表の現在地を測った「試金石」 “同じ目線”で対戦→8年後に証明した「頂点への歩み」

森保ジャパンと対戦したウルグアイ代表【写真:徳原隆元】
森保ジャパンと対戦したウルグアイ代表【写真:徳原隆元】

日本は直近8年でウルグアイと4度対戦した

 日本代表にとって、ウルグアイは常に現在地を測るための重要な試金石となってきた。森保一監督が就任して以降、日本代表はウルグアイと4度(2018年、2019年、2023年、2026年)対戦している。

 激しいプレッシング、堅牢な守備、鋭いカウンターを武器とするこの世界的強豪との戦いを経て、日本代表はどのような進化を遂げてきたのか。各試合後の森保監督のコメントを紐解くことで、チームが歩んできた確かな成長の軌跡と、未来へ向けた「チャレンジ」の全貌が見えてくる。

 2018年10月16日に埼玉スタジアムで対戦したのが森保ジャパンにとってウルグアイとの初対戦だった。森保体制の船出から間もない時期に行われた一戦は、4-3という壮絶な打ち合いの末に日本が勝利を収めている。

 この試合で際立ったのは、南野拓実、堂安律、中島翔哉といった若い攻撃陣の躍動である。当時のコメントで森保監督は、「チームとして攻撃の姿勢をもってアグレッシブに戦っていこうということ」「彼らが持った自信がチームにさらにいい形で落とし込んでいける」と若手のチャレンジを高く評価した。

 しかし、この試合における最大の進化は戦術面以上に「メンタル面」にあった。「選手がFIFAランク5位のウルグアイに対して、同じ目線で戦ってくれていると思っています」「2018年ロシアワールドカップではベルギーと戦って結果的には負けましたが、そこで同じ目線でもって互角の戦いができるという自信を持ってくれていました」

 かつて日本代表にとって、南米や欧州のトップ層は「格上」として挑む対象だった。しかし、ロシアでの死闘を経た選手たちは、ウルグアイに恐れることなく「同じ目線」に立ち、個々の局面でも逃げることなく責任を持って戦い抜いた。このメンタリティの転換こそが、第一期森保ジャパンの基盤となる大きな第一歩であった。

 2019年6月20日、日本は招待国として参加したコパアメリカで再びウルグアイと激突し、2-2の引き分けを演じた。ブラジル・グレミオでの試合に臨んだのは若手主体のメンバー構成だったが、日本は2度のリードを奪う健闘を見せた。

 森保監督は試合後、「アウェイのなか、世界トップクラスのウルグアイに押し込まれることは想定していましたが、選手たちは粘り強く耐えながら戦ってくれました」「苦しく厳しい状況でも、選手たちが反発力を見せてくれたことで、この結果につながりました。集中を切らしていたら、勝点0になっていたと思います」と振り返り、チームのタフさを称賛した。

 押し込まれ、追いつかれる展開でも決して崩れず、はね返す「反発力」は、組織として連動して守る日本らしい戦い方が浸透してきた証左であった。また、「相手に敬意を払いつつも、リスペクトしすぎずに同じ目線でプレーしていました」という言葉からは、前年に芽生えた「同じ目線で戦う」という意識が、経験の浅い若手選手たちにもしっかりと継承され、チーム全体のスタンダードとして定着しつつあることが窺えた。

 2023年3月24日、国立競技場で第2次森保ジャパンは初戦を迎えた。2022年カタールワールドカップでベスト16という結果を残したチームから森保監督は大幅にメンバーを入れ替える。同時に、それまでの堅守速攻をベースにしつつも、自らボールを握って主導権を握る戦い方への移行を目指していた。

 試合後の監督の言葉には、「チャレンジ」というキーワードが何度も登場する。「サイドバックが関わる攻撃の形や前線の選手の幅の生かし方をどうトライするかを中心に取り組んでいます」「追う展開という難しいなかでもやってくれました。チャレンジが2026年に向けて大きなキーワードになるなか、選手たちは集中を切らさず、満足せず、いいチャレンジをしてくれました」

 カタールで世界の強豪と互角に渡り合える手応えを掴んだ日本は、さらなる高みを目指すため、攻撃のバリエーションを増やすという新たな局面に足を踏み入れた。先制されても粘り強く戦い、西村拓真の同点ゴールに見られたように、試合の流れを読み切り、「匂いをかぎ分ける」勝負強さも身につき始めていた。経験の浅い選手と経験豊富な選手が融合し、2026年を見据えた戦術的な土台作りが本格化した一戦であった。

 そして迎えた2026年9月24日のウルグアイ戦。これまでの集大成とも言えるこの試合で、日本は大きな進化の証明を果たした。森保監督は試合前、選手たちにこう語りかけている。

「これまでの積み上げを大切にしながらも、これまでで終わらせず、これまで通りではなく、これから我々が何を目指すか、そしてチームとして勝利を目指しながら成長を目指すチャレンジをしていこう」。

ここでの進化は「より自分たちからアクションを起こす」スタイルへの到達である。監督が「よりボールを奪いに行くという、自分たちからアクションを起こすということをディフェンスのところでやっていこう。で、よりインテンシティ高く戦っていこう」と要求したとおり、相手の出方をうかがうのではなく、自ら仕掛けてゲームをコントロールする姿勢が明確に打ち出された。

 さらに指摘しておきたいのはチーム内の競争力の向上である。この試合では松木玖生や佐野航大、塩貝健人といった新戦力が躍動し、結果を残した。

「若い経験の浅い選手たちが結果を出して、経験をして、さらに成長してくれる機会になった」

「若い選手が常にギラギラして、自分たちのポジションを狙っている、底上げをしてきていることを多くの選手も感じながら、いい刺激をし合っている」

 かつては一部の主力に頼りがちだった代表チームは、今や誰が出ても高いインテンシティと戦術理解度を体現できる分厚い選手層を誇る集団へと変貌を遂げた。「これまでやってきたことも、ベースの部分を伝えながら」、決して基本を疎かにせず、常にアップデートを繰り返す。堂安律のキャプテン就任など、チーム内のリーダーシップの多角化も進んでいる。

 2018年、強豪相手に「同じ目線」で立つメンタリティを獲得した日本代表は、2019年にアウェーでの「反発力」と組織的守備を身につけ、2023年には主体的にボールを動かす戦術的な「チャレンジ」を始めた。そして2026年、強固なベースの上に「自らアクションを起こし、ゲームをコントロールする」という世界のトップ・オブ・トップが持つ資質を手に入れようとしている。

 森保監督の一貫したマネジメントと、現状に満足することなく常に「ギラギラした」向上心を持ち続ける選手たち。ウルグアイ戦の歩みは、日本サッカーが確かな足取りで世界の頂点へ向かって階段を登っていることを、力強く証明している。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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