W杯選外→代表入り期待の注目選手 序列変動の可能性大はGK…“0G0A”ストライカーも候補

欧州で今季序盤に活躍を続ける選手たち
北中米ワールドカップ(W杯)を終えた日本代表が、9月シリーズから再始動する。
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森保一監督は、基本的に北中米W杯を戦ったメンバーを中心にチームを編成する方針を示している。ただ、W杯メンバー全員が所属クラブで好調を維持しているわけではない。新天地で十分な出場機会を得られていない選手もいれば、シーズン序盤にパフォーマンスが安定していない選手もいる。
次の大きなターゲットは2027年1月のアジアカップだ。現体制の集大成となる大会まで約4か月。W杯組を軸としながらも、現在の状態を見極め、各ポジションの競争を続ける必要がある。そう考えれば、クラブで結果を出している新戦力や、W杯には届かなかった選手にも入り込む余地はある。
その中で再招集の有力候補となるのが佐野航大だ。すでにA代表を経験しているが、北中米W杯の26人には入らなかった。しかし、今夏にNECからPSVへ移籍すると、新天地でも出場機会を確保。直近のスパルタ・ロッテルダム戦では移籍後初得点を挙げ、UEFAチャンピオンズリーグでも先発している。
中盤でボールを引き出して前進に関わるだけでなく、自らゴール前へ入っていけるのも佐野の特長だ。W杯後も田中碧や佐野海舟らがいる中盤での競争は厳しいが、22歳でPSVの主力争いに加わり、欧州最高峰の舞台でもプレーしている現在地を考えれば、W杯メンバー外から代表へ戻る選手を考えるうえで、まず名前が挙がる存在だ。
佐藤龍之介もW杯後に環境を大きく変えた。今夏、19歳でバレンシアへ移籍し、ラ・リーガでは開幕から5試合連続で出場している。一方、ここまでリーグ戦で得点はなく、いきなり欧州5大リーグの名門への挑戦ということもあって、現地メディアでは厳しい評価も見られる。
それでも、19歳でこのレベルの実戦を継続して経験していることは大きい。中盤だけでなくサイドでもプレーでき、2025年6月にはすでにA代表デビューも果たしている。W杯には届かなかったものの、将来性まで含めて考えれば、引き続き代表の競争に加えておきたい選手だろう。
同じ前線では、すでに代表との接点を持つ宮代大聖も挙げたい。2025年のE-1選手権でA代表を経験したが、欧州組を含めたフルメンバーでの代表活動にはまだ加わっていない。
ヴィッセル神戸から欧州へ渡った宮代は、ラス・パルマスで昨季から結果を残し、今季はいよいよ本格的なブレイクの兆しを見せている。8月のリーグ戦3試合で2得点2アシストを記録し、ラ・リーガ2部の月間最優秀選手に選出された。本来はストライカーだが、ラス・パルマスではサイドハーフでもプレーしており、得点だけでなくプレーの幅も広げている。
クラブもシーズン序盤のスタートダッシュに成功し、1部昇格を狙えるポジションにつけている。その中で存在感を高めている宮代自身も、このパフォーマンスを続ければさらなるステップアップが視野に入ってくる。欧州で着実に評価を高めている26歳という現在地を考えれば、9月シリーズの新たな選択肢として推したい1人だ。
また、2025年のE-1選手権でA代表を経験した原大智も、ザンクトパウリでリーグ戦5試合2得点1アシストを記録。191センチのサイズを持つ原は、前線に違った特徴を加えられる選手でもある。
他の欧州組では齋藤俊輔も初招集候補に挙がる。21歳で水戸ホーリーホックからベルギーのウェステルローへ渡り、リーグ戦6試合で3得点。8月末のズルテ・ワレヘム戦で得点すると、続くメヘレン戦では2得点を記録した。しかも、ここまで6試合すべてに先発している。
初めての海外挑戦では、まず出場機会を確保するまでに時間を要するケースも珍しくない。そのなかで齋藤は早い段階からポジションを掴み、得点という結果にもつなげている。スピードを生かして前方へ運べる21歳のアタッカーはA代表未招集。欧州で見せているプレーを踏まえれば、フルメンバーの代表で一度見てみたい存在だ。
小杉啓太も欧州で一段階上の環境に身を置いている。今年1月にスウェーデンのユールゴーデンからフランクフルトへ移籍。20歳ながらDFBポカールでフル出場し、ブンデスリーガでも開幕からウニオン・ベルリン、アウクスブルク、マインツとの3試合すべてで90分間プレーしている。
左サイドバックを主戦場としながら複数の役割に対応できることも、小杉を考えるうえではポイントになる。A代表歴はまだないが、20歳でブンデスリーガの先発に定着しつつある選手を、この先も世代別代表だけで見ていく必要はない。3バックを継続する場合も含め、A代表の候補として考えていい段階にきている。
そのほかに、欧州では松木玖生がサウサンプトンでリーグ戦7試合1得点1アシスト、横山歩夢もヘンクで6試合1得点1アシストと、新シーズンに入って出場機会を得ている。
安定したパフォーマンスの国内組にも注目
国内組ではサンフレッチェ広島の鈴木章斗が結果でアピールしている。今季はJ1開幕7試合で6得点。浦和レッズ戦と直近のセレッソ大阪戦ではそれぞれ2得点を奪い、ゴール前での存在感を高めている。単に得点数が多いだけではなく、相手の最終ラインとの駆け引きから背後を狙い、クロスに対してゴール前へ入っていく形でも得点につなげている。
もっとも、A代表未招集の鈴木にとって、センターフォワードの競争は簡単ではない。フランスのリールで好調を維持する上田綺世を筆頭に、後藤啓介やJリーグに復帰した小川航基ら北中米W杯組がいる。それでも、現在のパフォーマンスを重視するのであれば、J1で6得点を挙げているストライカーは当然、比較対象に入ってくる。23歳という年齢を考えても、筆者として初招集を推したい1人だ。
横浜F・マリノスの谷村海那もJ1で7試合6得点と、鈴木章斗と並んで国内のFWでは目立つ数字を残している。A代表未招集の28歳だけに若手の発掘とは意味合いが異なるが、現在の結果を重視するなら選択肢に入ってくる。
一方、派手な数字とは別のところで候補に挙げたいのが柏の熊坂光希だ。25歳の今季はJ1開幕7試合すべてに出場し、うち6試合で先発。0得点0アシストだが、185センチ、80キロのサイズを生かしたデュエルやボール奪取、そこから攻撃へつなぐプレーで中盤を支えている。
熊坂は2025年6月、W杯アジア最終予選に臨むA代表へ初招集されたものの、負傷によって途中離脱し、出場には至らなかった。代表スタッフから一度は評価を受けながら、まだA代表のピッチには立っていない。柏で安定したプレーを続けている今、改めて候補として名前を挙げたい。
最終ラインでは広島の中野就斗も見逃せない。今季はここまで2得点1アシストを記録し、それ以外にも多くのチャンスに絡んでいる。守備でも対人の強さを発揮するなど、攻守両面で安定したパフォーマンスを続けている。
広島ではすでに主力として定着しているだけに、中野の場合は「試合に出ている」こと自体より、そのなかで見せているプレーを評価したい。日本代表が北中米W杯後も3バックを継続するのであれば、右ストッパーとウイングバックの両方をこなせることも強みになる。A代表未招集の選手の中では、現在のシステムとの親和性という意味でも興味深い存在だ。
GK陣で考えられるW杯とは異なる選択肢
そして、W杯後に序列が動く可能性があるポジションの1つがGKだ。
谷晃生は町田で開幕から7試合すべてに先発し、チームも5勝2分と無敗を維持している。A代表では3試合に出場しているが、北中米W杯には選ばれなかった。一方、W杯メンバーの早川友基は鹿島でシーズン序盤に安定感を欠き、大迫敬介も欧州移籍が実らず、広島復帰後はリーグ7試合目でようやく先発した。W杯での序列と現在のクラブでの状況を分けて考えるなら、谷が再び競争へ入る可能性は十分にある。
GKでは海外組にも候補がいる。野澤大志ブランドンはベルギーのアントワープで先発を続け、直近のクラブ・ブルージュ戦では自陣からのロングフィードでアシストを記録した。A代表への招集経験はあるものの、まだ出場はない。GKとしてゴールを守るだけでなく、キックから攻撃の起点になれることも特徴の1つだ。
シント=トロイデンの小久保玲央ブライアンもいる。パリ五輪では正GKを務めながら、A代表ではまだ出場経験がない。谷だけでなく、欧州でプレーする野澤や小久保まで対象を広げれば、GKにもW杯メンバーとは異なる選択肢が見えてくる。
もちろん、W杯組が9月シリーズでも代表の中心になるという基本線は変わらないだろう。ただ、W杯に出場したという実績と、9月時点でのコンディションやクラブでの立場は分けて考える必要がある。
約4か月後にはアジアカップが控えている。そこから逆算すれば、9月と10月の代表活動は既存戦力の再確認だけで終わらせる必要はない。クラブで結果を出している選手をどこまで競争へ加え、現在の代表にどんな新しい選択肢を用意するのか。
9月のメンバー発表では、誰が選ばれるかだけでなく、W杯後の日本代表がどのポジションで新たな競争を求めているのかも見えてきそうだ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。






















