中国サッカーで起こっている”対立” バルサ加入、逸材輩出も…サッカー協会反感「育成していない」

中国サッカーを変えるかもしれない選抜チームプログラム
日本サッカーファンの皆さん、こんにちは。久保田嶺です。スペインの優勝で幕を閉じたワールドカップ2026も終わり、新たな4年間が始まっています。そしてそれは中国サッカーも同じです。出場国が増えた今大会「これでも中国は出場できないのか」というコメントがインターネット上でも数多く見られました。本日は、そんな近年低迷し続ける中国サッカーを変えるかもしれない存在についてです。「中国足球小将」直訳すると中国サッカー少年という、私人による選抜チームプログラムです。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
◇ ◇ ◇
「僕の夢は中国足球小将に選ばれてプレーすることです!董路さんのあのチーム!」
先月弊社の日本サッカー夏キャンププログラムに参加した北京の小学3年生に目標を聞くとこう答えました。中国足球小将というのは元サッカー解説者の董路(ドン・ルー)氏が2017年に始めた小学生年代を中心とした選抜チームプログラムです。中国全土から選手を選抜し、ヨーロッパ、日本などの海外のトップ大会に参加します。日本ではU-12ワールドチャレンジなどに参加しJリーグ下部組織チームにも勝利、また先日イタリアで開催された「SIGISMONDI CupU-12」では、プレミアリーグのエバートンU-12にPKで勝利し優勝しました。この優勝は中国国内で「中国サッカーの未来は明るい!」と瞬く間に大ニュースとなり、中国の一般の人たちにも中国足球小将という存在が広く知られることになりました。
また中国足球小将は、毎年7月の夏休みに「2034杯」というU-12の大会も開催しています。その名の通り2034年ワールドカップで活躍する選手を輩出するという目標の大会で、注目度は年々爆発的に上がっています。特に先月開催された2026年大会では、中国TikTokで試合ライブを見た人は3,500万人を超え、決勝では有料チケット68元(≒1,604円)が完売し31,289人を動員しました。選手たちによる試合前の記者会見、配信レベルなどは私から見ても小学生年代のそれとは思えない完成度の高さでした。
その他にも、9歳から中国足球小将に参加していた李昊炎(14)が中国人初となるFCバルセロナのアカデミー、ラ・マシアへの加入が決定。これも中国足球小将への大きな注目を集めることになりました。
このような近年の熱狂から、今ではサッカー少年たちの一つの夢に中国足球小将に入ることがなり、そして昨年には中国EV最大手の比亚迪(BYD)がスポンサーとなり支援を開始。そして今年は中国飲料メーカー最大手の农夫山水(Nongfu Spring)もスポンサーに加わり、ますます規模感が大きくなっています。
まさに中国サッカーを変えるかもしれない救世主とも言えるこの中国足球小将、董路氏。しかし中国では支持、不支持が大きく2つに割れており、また中国サッカー協会との関係など問題も抱えています。ただこの問題があるということが、むしろ中国足球小将を支えているとも言えます。どういうことでしょうか。

中国国内でプログラムに賛否
中国足球小将そして董路氏への支持、不支持は中国国内で大きく2つに割れています。それは中国足球小将は「あくまで選抜チームで選手を育成していないのに、私たちが育てたかの様な顔をしている」という声です。各選手は自チームがあり普段はそこに所属し練習し、年数回の遠征時に中国足球小将として集合します。しかし「中国足球小将、董路氏は自分たちが育てたかの様な振る舞いをしている」というコメントが少なくありません。先ほど紹介したラ・マシア初の中国人となった李昊炎も、中国足球小将の李昊炎という見え方が大きくなっており、「育てたのはクラブだろう」という反発が出ています。
また現在、中国足球小将と中国サッカー協会は協力関係になく、むしろ対立しています。先日の2034杯でも、これほど注目度がある大会になったのにも関わらず中国サッカー協会の人は出席がなかったと董路氏は話しており、また中国足球小将は中国サッカー協会のいわゆる正当なU-12等の代表チームとの対戦を希望していますが、実現していません。これに対して「中国サッカー協会は逃げている、負けたら面子がないからだ」や「当たり前だ。中国足球小将はただのインフルエンサーがやっている選抜チームだから」という世論の対立が生まれています。しかし、この対立を作り出し注目度を上げることこそ、中国足球小将、董路氏の狙いだという見方もあります。
中国足球小将の海外遠征費等の活動費用は原則無料です。その資金はスポンサー及び中国足球小将や董路氏の中国TikTokライブのチケット売上や広告収益で賄っています。そのためインターネット上の注目を集める、というのが運営上極めて大切であり、あえて董路氏は極端なコメントや対立を作り出しているとも言われています。
この大注目の中国足球小将ですが、私個人としては支持しています。何はともあれ中国足球小将によって中国でのサッカー育成年代への注目は増しており、また選手たちも貴重な海外遠征の機会を手にして成長しているのは間違いありません。4年後の2030年、そして8年後の2034年サウジアラビアW杯では、この中国足球小将に参加していた選手が中国代表をW杯に導くことを楽しみにしています。
(久保田嶺 / Rei Kubota)

久保田嶺
1991年生まれ、埼玉県出身。Rouse Shanghai Co.,Ltd./合同会社Rouse代表。日系企業の中国インバウンド事業やマーケティング、中国サッカー選手のマネージメントを行う。自身の中国SNSフォロワー数も40万人と中国サッカー界で一番有名な日本人としても活躍。日本へ中国サッカー情報を発信する。























