Jプレシーズンを過ごす最適な場所は? 北海道、沖縄、欧州…前例ない夏開幕で「全く予想がつかない」

各チーム対策が分かれた
8月7日にいよいよ開幕する26-27シーズンJリーグ。93年の発足以来、「春開幕・冬閉幕」というサイクルが長く続いてきただけに、猛暑の真夏にスタートするリーグ戦がどのような展開になるのかは全く予想がつかない。
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「今回から欧州や世界と同じスケジュールになるということで、日本がさらによりよい選手を輩出していくために重要な要素だと思う」と3日のJリーグ開幕イベントでラファエル・エリアス(京都)もコメントしていたが、序盤のコンディション調整には多少なりとも苦労することになるかもしれない。
そこが新シーズンの1つの大きなポイントではないか。夏開幕が初めてということは、プレシーズンの過ごし方も初めて。どのクラブも「どういう環境でキャンプを張って、調整していくのがベストか」を模索してきたに違いない。
J1に限って言うと、2025年王者の鹿島アントラーズ、17年ぶりに最高峰リーグに復帰したジェフユナイテッド千葉のように、比較的近い福島・Jヴィレッジでキャンプを行ったチームもあれば、冷涼な気候の北海道を選んだチームもあった。
北海道キャンプを実施したのは柏レイソル、FC東京、東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、名古屋グランパス、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸の合計7チーム。このうちセレッソは北海道東川町の第1次キャンプの後、気温の高い宮崎へ移動して第2次キャンプを実施しているが、それ以外の5チームは本州より気温が低めの北の大地で追い込むことに主眼を置いたという。
一方で、「あえて猛暑の環境で強度を引き上げた方がスタートからいい状態を作り上げられる」という判断から沖縄を選んだところもある。それが浦和レッズ、町田ゼルビア、京都サンガ、V・ファーレン長崎の4チームだ。
このうち町田は黒田剛監督にゆかりのある青森市で第1次キャンプを実施。その後、沖縄に移動している。長崎も同じように第1次キャンプをオランダで実施。そこから沖縄入りして、1週間かけて暑熱対策を行った形だ。
「沖縄はマジで暑かったです。ヤバいです(苦笑)。でも北海道に行った選手からは『だいぶ涼しかった』と聞いているんで、そこから本拠地に戻ってからムチャクチャ暑いというのはキツい。自分たちも涼しいところでずっとやってるよりは絶対にいいと思う。その差は出るかもしれないですね」と長崎のキャプテン・山口蛍も話したが、涼しいところから猛暑のところに行ってプレーするのは選手たちにとって非常に厳しいはずだ。
欧州キャンプを実施したチームはその傾向がより顕著に見られるのではないか。今回、J1の中で欧州に出向いたのは、清水エスパルス、ガンバ大阪、ファジアーノ岡山、サンフレッチェ広島と長崎の5チーム。長崎以外は全て欧州クラブの夏季キャンプのメッカとも言えるオーストリアに赴いている。
この5チームのうち、広島と長崎は帰国後に第2次キャンプを国内で実施。暑さ適応を進めたが、それ以外の3チームは本拠地でトレーニングを行っている分、苦労している様子。清水も帰国数日後の25日に行ったジュビロ磐田とのトレーニングマッチ(40分×2本、45分×2本)で1-5の惨敗。新キャプテンに就任した住吉ジェラニレショーンもこんな話をしていた。
「オーストリアは最高気温が32~33度だったんですけど、湿度が全然日本と違う。日中と夜の寒暖差もマックス10度くらいあったので、ホテルの部屋にはエアコンがないほど過ごしやすかったんです。
そこでいい練習ができて、帰ってきてすぐにジュビロと戦った時には物凄く暑かった。帰国して3日練習してからのゲームだったんですけど、走行距離が1キロくらい減ったりと、明らかに数値にも表れていましたね。
僕はエスパルスに来て3年目ですけど、あんな大敗は初めて。当に悔しかった。吉田(孝行)監督も言っていましたけど、キャンプの練習試合(ポリッスヤ・ジミトール戦、カールスルーエ戦)で2連勝できたのに、ライバルのジュビロに負けたことで鼻をへし折られた気がした。早くコンディション含めてチーム状態を引き上げていかないといけないと思いました」
この住吉同様に「帰国後の暑さへの適応が大変だった」と話すのは、ガンバの若き守護神・荒木琉偉である。
「日本とは湿気が全然違うので、向こうでは過ごしやすかったけど、帰ってきてからが大変でしたね」と彼は言う。しかしながら「欧州では涼しい分、強度高い練習ができ、しっかり追い込めたんで、そのアドバンテージはあると思います」と18歳の若武者は前向きに話していた。
本当にそのアドバンテージが生かせればいいが、どうなるかはフタを開けてみないと分からない。涼しいところで追い込んだチームがスタートダッシュを切れれば、来季からは「欧州や北海道で調整したい」というクラブが増えるだろうし、沖縄や宮崎のような酷暑の環境で調整したチームが快進撃を見せれば、「そっちの方がいい」という話になる。まさに今季は今後への大きな試金石。そういう意味でも、開幕からどこが走るのかを興味深く見守る必要がありそうだ。
個人的には、やはり暑い環境で苦しみながらトレーニングを積んだチームの方がアドバンテージがあるのではないかと見るが、それも7日に開幕してみないとハッキリしない。いずれにしても、過去に例のない夏開幕のリーグ戦を制するカギは良好なコンディション作りにあるのは間違いない。それを頭に入れつつ、まずは8月の4試合の動向から冷静に注視していきたい。
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。






















