“大岩ジャパン”の有力候補 Jリーグで台頭FWも…すでにA代表デビューの選手らも

ロス五輪世代だけじゃない。アジアカップ&“大岩ジャパン”の有力候補
2026年北中米ワールドカップを終え、日本代表は2027年アジアカップまで森保一監督が指揮を執り、その後は大岩剛監督が新たなサイクルをスタートさせる見通しとなっている。アジアカップはタイトル奪還を目指す重要な大会である一方、その先に控える2030年ワールドカップへ向けた世代交代も本格化するタイミングだ。北中米W杯の主力たちが引き続き軸になるのは間違いないが、その座を脅かす新戦力の台頭も大いに期待される。
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もちろん、負傷によって北中米W杯出場を逃した三笘薫(ブライトン)は別格の存在だ。また、最後の最後まで代表入りを争った高井幸大(トッテナム)、藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)、佐野航大(NECナイメヘン)も、アジアカップ、そして大岩ジャパンで有力候補となるだろう。
ロサンゼルス五輪世代では、北中米W杯を経験した後藤啓介(シント=トロイデン)、塩貝健人(ヴォルフスブルク)をはじめ、新たに欧州へと渡った佐藤龍之介(バレンシア)などが次代の日本代表を担う存在として期待されている。しかし、大岩ジャパンの候補はロス五輪世代だけではない。本稿では、一つ上のパリ五輪世代を中心に、中堅世代やJリーグ組まで、アジアカップ、そして大岩ジャパン入りが期待される有力候補を紹介していきたい。
パリ五輪世代では、斉藤光毅(QPR)、三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)、北野颯太(ザルツブルク)の3人が改めて評価されるべき存在だ。いずれも”森保ジャパン”でプレーした経験を持ち、すでにA代表でも実力の一端を示してきた。特に三戸は左右のサイドに加え、トップ下までこなせる万能性を備え、攻守両面でハードワークできる現代型アタッカー。オランダで着実に評価を高めており、この夏にさらなるステップアップ移籍が実現すれば、代表での序列も一段と上がる可能性がある。斉藤は突破力と創造性、北野は豊富な運動量と攻守両面での献身性を武器に、アジアカップでも重要な戦力となり得る。
その一方で、新たに代表争いへ食い込んできそうなタレントも少なくない。中村草太(ル・アーヴル)はサンフレッチェ広島でブレークを果たし、E-1選手権では森保ジャパンでA代表デビューも経験した。これまでの活躍が評価されてフランス1部へステップアップしており、縦への推進力とゴールへ向かう積極性は代表でも貴重な武器だ。欧州でさらなる成長を遂げれば、A代表定着も十分に期待できる。
横山歩夢(ヘンク)は高い技術とドリブル能力を備え、左右両サイドをこなせるアタッカー。移籍当初は苦しんだが、徐々に出場機会を増やし、シーズン最終戦で初ゴールを記録した。同じクラブで北中米W杯メンバーの伊東純也から多くを学べる環境にあることもアドバンテージと言える。ロサンゼルス五輪世代の有望株である弟・横山夢樹(セレッソ大阪)も順調に成長しており、その存在も大きな刺激になっているはずだ。
中盤では松木玖生(サウサンプトン)が非常に楽しみな存在だ。プレミアリーグ昇格プレーオフ進出に貢献したものの、クラブスタッフによる対戦相手の練習の無断撮影問題によって、チームは決勝進出を果たしながら大会から除外される異例の事態に見舞われた。それでも、ボックス・トゥ・ボックスのダイナミックな動き、局面での強さ、そしてイングランドの高い強度の中で磨かれたボールさばきには着実な成長が見られる。ここから一気に飛躍しても何ら不思議ではない存在だ。
松木と同じ青森山田校の出身で、清水エスパルスから欧州へ渡った宇野禅斗(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)は、ボール奪取能力や豊富な運動量だけでなく、前進する力や高い戦術理解度も兼ね備えた万能型MFだ。アンカーとインサイドハーフの両方を高いレベルでこなせる柔軟性も魅力で、ブンデスリーガで経験を積めば、一気に代表争いへ加わる可能性は十分にある。
山本理仁(フライブルク)はゲームメーク能力と落ち着いた配球が持ち味で、試合のテンポをコントロールできるタイプ。欧州でプレーの幅を広げることができれば、中盤のゲームメーカーとして代表でも独自の存在感を発揮できるだろう。田中聡(シャルケ)はボール奪取能力や守備範囲の広さが魅力で、中盤の強度を高められる守備的MFだ。デュエルの強さに加え、シンプルかつ確実なボールさばきも持ち味であり、欧州で経験を重ねることで代表定着も十分に期待できる。
攻撃的なタレントでは荒木遼太郎(シント=トロイデン)もさらなるブレクススルーが期待される一人だ。FC東京で浮上のきっかけをつかむと、昨シーズンJ1王者となった鹿島アントラーズでも、ゴール前で違いを生み出す才能を存分に発揮した。欧州で課題とされるフィジカル面を向上させながら、持ち前のイマジネーションを発揮できれば、荒木の才能をよく知る大岩剛監督のメンバーに食い込める可能性は十分にある。
最終ラインでは松田隼風(ハノーファー)が有力候補だ。左サイドバックを主戦場とし、高いビルドアップ能力と正確な左足のキックを武器に攻撃の起点となれる。守備でも対人能力やポジショニングに優れ、大岩ジャパンでも貴重な戦力となり得る。
濃野公人(DCユナイテッド)は鹿島アントラーズからMLSへと新天地を求め、さらなる飛躍を目指す。攻撃性能の高い右サイドバックで、大外での推進力だけでなく、するするとゴール前へ飛び出す得点力も大きな武器だ。MLSという新たな舞台で経験を積みながら守備面にも磨きをかけることができれば、代表争いに加わるだけのポテンシャルは十分に備えている。
パリ五輪世代より上の年代にも、有力候補は少なくない。宮代大聖(ラス・パルマス)はJリーグ屈指の決定力を武器に欧州へ渡り、スペイン2部ながら着実に結果を出し、評価を高めている。センターフォワードだけでなくセカンドトップやトップ下もこなせる万能性は代表でも魅力となる。
毎熊晟矢(AZアルクマール)は、森保ジャパンが3バックへ舵を切った不運に加え、自身も負傷に悩まされたことで代表から遠ざかった。それでも、欧州で磨いてきた攻守両面の能力を考えれば、現在28歳でも次期代表の右サイドバック争いに食い込むチャンスは十分にある。ドイツ1部のボルシアMGに加入が決まった橋岡大樹もアジア杯での招集はもちろん、改めて守備能力と盾の推進力が評価される可能性はある。
Jリーグ組では、中野就斗(サンフレッチェ広島)が右サイドバックの有力候補だ。豊富な運動量と対人能力を兼ね備え、攻守両面で高いレベルのプレーを継続している。3バックならセンターバックも視野に入るが、4バックに回帰が見込まれる”大岩ジャパン”では右サイドバックとして攻守の能力を発揮することになるか。欧州帰りの藤井陽也(名古屋グランパス)は高さと対人能力を武器に、改めてJリーグで評価を高めた。ポテンシャルは欧州組にも引けを取らず、新体制のセンターバック争いに割って入る力を備えている。
ストライカーでは鈴木章斗(サンフレッチェ広島)の存在も見逃せない。ゴール前での嗅覚と得点感覚は世代屈指であり、センターフォワード争いの中で結果を積み重ねれば、A代表初選出も十分に現実味を帯びてくる。百年構想リーグで再ブレークした木村勇大(名古屋グランパス)も、ここからが勝負になってくる。
北中米W杯はラウンド32でブラジルに敗れたが、日本代表の選手層は着実に厚みを増している。森保ジャパンで迎えるアジアカップ、そして大岩ジャパンへと続く新たな代表サイクルでは、北中米W杯組に“あと一歩”だった選手たちに加え、今回紹介したパリ五輪世代、中堅世代、Jリーグ組がどう食い込んでいくのか。その熾烈な競争こそが、2030年ワールドカップで世界の頂点を目指す日本代表の大きな原動力となるはずだ
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。





















