国が「選手を出せ」→クラブは「それに従う」 日本人が見た…ウズベキスタン急成長の理由

フィリピン連盟のユース育成ダイレクターを務める土田哲也氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
フィリピン連盟のユース育成ダイレクターを務める土田哲也氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

土田哲也氏「言葉も違うし、文化も違うというのは、やっぱりすごく刺激に

 今年3月から4月にかけて神奈川県などで開催されたジュニア年代の国際大会「コパ・トレーロス2026」。フィリピンから来日した選抜チームの監督として、日本へと戻ってきた指導者がいる。コンサドーレ札幌の初代メンバーとしてプレーし、鹿島アントラーズアカデミーで20年以上コーチを務めた土田哲也氏だ。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全3回の2回目)

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 2022年に鹿島のアカデミーを辞め、JFAの派遣でウズベキスタン赴任を決めた土田氏。「ウズベキスタンがどこにあるかも分からなかったし、“なんとかスタン”というとちょっと危ないイメージもあるじゃないですか。戦争をやっている地域もあったり」。妻からは「え、それ大丈夫なの?」と心配されたという。

 それでも、50歳での新たなチャレンジと単身赴任でやってきたウズベキスタン。「でも、行ってみたらやっぱり、いろんな当たり前のことが当たり前じゃない。全く人も違うし、もちろん言葉も違うし、文化も違うというのは、やっぱりすごく刺激になりました」。そこではアカデミーダイレクターを任された。

「ウズベキスタンでは国が運営するアカデミーがあって、12の州があるんですけど、その各州に一個ずつ。11歳から17歳までの男子が各学年22人ずつ寄宿して、ずっと一緒に学校も行って、サッカーやっているんですよ。ただ、そのアカデミーがうまくいっていなくて、改善してくれということで行ったんです」

 ところが、異国での奮闘にもかかわらず、「まあ難しかったです」と振り返った土田氏。「だって12もあって、例えば一つのアカデミーを1週間ちょっとチェックして回って、もうそれだけでも半年くらいかかりますからね。そして一周してまた戻ってきたら、結局また元に戻っているというか」と頭を抱えた。

 そんな日本とは同じようにはいかない苦悩も味わったが、同時にサッカーへの熱量も感じた。「サッカーは、1番の人気スポーツ。ウズベキスタンと言うと、アジアの中では日本と張るくらい強いチームですよね」。北中米ワールドカップ(W杯)では初出場を果たし、プレミアリーグで活躍する選手も現れた。

「例えば日本だとスタジアムにも女性客が多かったりしますけど、ウズベキスタンはとにかくおじさんが多いんですよ。みんなサッカーが好きなので、歓声なんかも『ウォォォォ』っていう感じ。イスラムの国なので、サッカーも女性のスポーツではないというイメージがあって。でも、サッカーは人気ですよ」

 サッカー協会は世代別の代表にも資金を投入し、「オリンピックのチームなんかは、もう普段から一緒に練習していて、チームとしてウズベキスタンのプロリーグにも参戦しているんですね。だから、今は育成年代がアジアでトップを取ったりもしています」。昨年7月のU-17アジアカップでは優勝を果たした。

 常に同じチームでプレーしている国内組に、国際大会があるときには海外組が加わる編成。「日本だとやっぱり各クラブのリーグ戦とかもあるので、タイミングによっては選手を出すのが難しかったりとか、うまくバランスを取ってやっていると思うんですけど」。ウズベキスタンには特殊な事情があるようだ。

「ウズベキスタンは元々、社会主義の国だったので、国が『選手を出せ』と言ったらもうそれに従う。やりやすいと思いますよ(笑)。だから、代表チームの強化の力はけっこう強いんですよね。ベースのチームがもうできていて、それで強化しているから。そういう意味で、代表チームが今すごく強いですね」

 慣れない海外の生活を楽しんだが、食生活での苦労もあった。「イスラムの国で、豚肉とかけっこう食べられないものが多くて。そもそも、豚肉という食材がないので」。そんな土田氏だが、2023年1月限りでウズベキスタンから帰国し、同年3月からフィリピンでユース育成ダイレクターを務めることになる。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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