北中米W杯は「出来すぎた大会」 4強の顔ぶれこそ“大波乱”…上位独占は「アメリカらしい」

FIFAランク1~4位がそろったベスト4
「順当?」
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ベスト4の顔ぶれに、思わず首をひねった。FIFAランキング1~4位が準決勝に進出した。1位フランス、2位スペイン、3位アルゼンチン、4位イングランドと、いずれも8か国しかない優勝経験国。チーム数が増える中、よくぞそろって勝ち上がってきたなと思う。
4年に1回のW杯は、驚きと興奮の連続だ。本命と思われた優勝候補がまさかの敗退を喫し、勢いのあるダークホースが勝ち進む。波乱、番狂わせ、驚愕の展開……。「取るべき選手が取れず、勝つべきチームが勝てない」のがW杯だと思っていた。
ところが、今回は「取るべき選手がとって、勝つべきチームが勝つ」大会だ。1次リーグでは意外な結果もあったし、決勝トーナメントに入ってからは劇的な試合も多かった。それでも、収まるところに収まった感じ。予想が大きく外れるのがW杯の「通常運転」だとしたら、今回は「大波乱」だ。
「FIFAランク1位は優勝できない」というジンクスがある。ランクが導入された93年以降、直近のランク1位チームの最高位は98年フランス大会のブラジルで準優勝。他はベスト8が4回、1次リーグ敗退が3回と準決勝にも進めていない。1位で前回大会を迎えたブラジルは準々決勝でクロアチアに敗れ、18年ロシア大会のドイツは1次リーグ最下位。もちろん、1~4位がベスト4独占という「珍事」は初めてだ。
FIFAランキングの計算方法はこれまで4度見直され、その精度は高まっているといわれる。それでも、今回の決勝トーナメントは驚き。ここまで28試合で、上位国の成績は23勝4分1敗。6位のブラジルが31位のノルウェーに敗れた以外は「順当」だった(PK戦ではドイツとオランダが敗れているけれど)。
得点ランキングも「異常」だ。前回大会1、2位のメッシとエンバペが8点でトップに並び、前々回大会得点王のケインが2差で追う。ゴール数そのものも多い。ここまで100試合で292点。1試合平均2.92点は、ここ60年で最も多い。PK戦が少ないのも特徴。前回大会は決勝トーナメント16試合で5試合あったが、今回は28試合で4試合だけ。守ってPK戦を狙うのではなく、長いアディショナルタイムに打ち合うド派手な試合が多い。
強いヒーローが大好きなアメリカらしい大会だ。誰もが知るスター選手が活躍し、人気のある強いチームが勝つ。これほど分かりやすい大会が、これまであっただろうか。ここにきて審判の判定が注目されるなど、アメリカでの大会を盛り上げるため、アメリカ人にも人気のあるメッシを勝たせるために「FIFAが操作しているのでは」とまで言われだした。
確かに、アルゼンチンは組み合わせに恵まれ、日本よりFIFAランクの低いチームとしか対戦せずにベスト4に残った。とはいえ、ドイツとは対戦する可能性があったし、メッシが涙をみせるほどギリギリの試合もあった。ランク4位までが4つの山に分かれるのも、各国の1位突破が前提。それでも「疑惑」がネタになるのは、今大会のアメリカ(トランプ大統領)とFIFA(インファンティーノ会長)にも原因がある。
仮にこのまま「順当」が続けば、ランキング上位のフランスとアルゼンチンが勝ち、決勝は前回大会の再戦になる。アメリカは、ますます盛り上がるはずだ。出来すぎた大会に違和感もあるが、歴史的な大会になることは間違いない。残り4試合、余計なことは考えずに存分に楽しみたい。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。



















