強さを見せる南米勢、意外とやらないハイプレス W杯に“適した戦術”は最先端と違うのか

北中米W杯で強さを見せる南米勢【写真:ロイター】
北中米W杯で強さを見せる南米勢【写真:ロイター】

強さを見せる南米勢、意外とやらないハイプレス W杯に“適した戦術”は最先端と違うのか

 北中米ワールドカップ(W杯)で全チームがグループステージの2試合を消化した時点で、連盟別の勝率トップは南米(CONMEBOL)だ。

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 2試合目に限れば何と勝率は83%。2位の欧州(UEFA)、北中米カリブ(CONCACAF)の勝率50%を大きく上回っている。2試合合計でも勝利58%で欧州を抑えてのトップ。

 アルゼンチンとコロンビアは連勝。初戦で米国に1-2の完敗を喫したパラグアイも2戦目はトルコに1-0で勝利した。6チームしか参加していないが粒ぞろいなのだ。エクアドルが予選の好調ぶりからすると思わぬ苦戦を強いられているが、ブラジル、アルゼンチン、コロンビアがグループ首位。ウルグアイも2位につけている。

 初戦で最も引き分ける率の高かったアジア(AFC)は2試合目では大きく後退。勝ったのは日本だけ。ベルギーと引き分けたイランも健闘したといえるが、残りの7チームはすべて敗れた。

 2試合目でAFCの次に負けているのがアフリカ(CAF)の5敗。ガーナがイングランドに引き分け(1-1)、コートジボワールは惜しくもドイツに敗れていて(1-2)、無力ではないが10チームが参加して勝ったのは3試合だけ。初戦と合わせても5勝しかしていない。

 大陸連盟別の序列は南米、欧州がやはり二強、アジアとアフリカが二弱となっている。
2試合を連勝したのは7チームある。メキシコ、米国の開催国にドイツ、フランス、ノルウェー、アルゼンチン、コロンビア。コロンビアはウズベキスタン、コンゴ民主共和国に勝っているが、真価が問われるのは次のポルトガル戦だろう。

 逆に2連敗はハイチ、トルコ、チュニジア、セネガル、イラク、ヨルダン、ウズベキスタン、パナマの8チーム。意外なのはセネガルの連敗だが、相手がフランスとノルウェーなので不思議ではない。やはりグループI(フランス、ノルウェー、セネガル、イラク)は三強一弱の最も厳しいグループだった。

 初戦でカーボベルデに引き分けた(0-0)スペインは、2戦目では4-0でサウジアラビアをノックアウト。コンゴ民主共和国に1-1だったポルトガルも5-0でウズベキスタンを一蹴して、ショッキングな初戦を引きずることはなかった。

 戦術的傾向としては、思っていたよりハイプレスをするチームがない。

 クラブチームの最高峰である欧州チャンピオンズリーグ(CL)では、ハイプレスをいかに外すかが焦点になっていて、さらにハイプレスが通用しないパリ・サンジェルマンのようなチームに対してどう守るか、というフェーズに移行しようとしているが、W杯では2試合を終えた時点ではあるが、まだハイプレスをするかしないかという段階にとどまっている印象なのだ。

 ハイプレスを得意とする日本も自重気味。敵陣に押し込む時間の長いスペインが高い位置で守るのは当然として、あとは米国、モロッコくらいしか思い浮かばない。

 ハイプレスは外されてしまえば一転してピンチに陥るリスクがある。それを回避するために自重しているケースもあるが、そもそもハイプレスに押し出す守備機能を持っていないチームもけっこう多い。守備戦術がクラブトップクラスに比べると2段階ほど遅れている感じがする。今後この傾向が変わるのか、それともCLとW杯ではそもそも適した戦術が違うのか。おそらくノックアウトステージに入れば判明するだろう。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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