本田圭佑も絶賛「彼がMVPでしょ」 実況・解説コンビで注目…NHK小宮山アナが語るオランダ戦の舞台裏

記者会見に出席した本田圭佑(右)と小宮山アナウンサー【写真提供:NHK】
記者会見に出席した本田圭佑(右)と小宮山アナウンサー【写真提供:NHK】

NHK小宮山晃義アナウンサーがインタビューに応じた

 北中米ワールドカップ(W杯)の熱戦が続くなか、放送席から届く熱い言葉が大きな話題を呼んでいる。NHKの小宮山晃義アナウンサーが「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、解説を務めた元日本代表MF本田圭佑(40、FCジュロン)との絶妙な掛け合いや、劇的なオランダ戦の実況の裏話について明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)

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 日本中を熱狂の渦に誘ったオランダ戦。NHKで生中継された一戦を多くの国民に届けたのが、小宮山アナウンサーだ。解説を務めた本田圭佑と息の合ったコンビで大きな話題を呼んだ。

「こうやって実況が目立つのは全く本意ではありませんが、実況という仕事に注目してもらえるのは素直に嬉しいですよね。本田さんだから注目はされるのでしょうけれども、こちらにいると分からないというのが正直な気持ちですね」

 2018年のロシア大会、2022年のカタール大会では現地で実況を務めてきたが、今大会は初めて日本戦の実況を担当することになった。初戦のオランダ戦というビッグカードに加えて、大きな注目を集めたのが解説・本田圭佑とのコンビ結成だった。「実は最初は割と構えていた」というが、大会前の会見に一緒に出席した際にイメージは裏切られた。

「一度会見でご一緒できて、その時に初めてお会いして、すごく安心感がある方だなっていう印象は持ちました。実際に抱いていたイメージとはだいぶ違う感じだなと。その時の立ち振る舞いや雰囲気が、すごく落ち着いていらっしゃった。慎重に言葉を選びながら会見にも臨まれている印象を受けました。何よりやっぱり日本代表のことを心から応援している、適当なことは絶対に言わない方だなという安心感をその時にすごく感じました」

 実況と解説として初めてコンビを組むにあたり、小宮山アナは本田の「直感」にフォーカスしていた。予測不能と捉えられがちだが、小宮山アナから出た言葉は意外なものだった。

「本田さんの場合は、事前の準備というよりかは、おそらく直感で様々な言葉を紡いでいかれるんだろうなと。戦術や配置ということではなくて、プレイバイプレイの価値判断であったり、そういう機微に反応されるんだろうなというイメージを持っていました。実際に初めて組ませていただきましたが、プレーから外れることはないので、急に突拍子もないこと、ピッチから離れたことをコメントされることはほぼないんですね。基本的にずっとグラウンドを見ていらっしゃって、そこから視線が外れないので、安心感がすごくありました。こちらもプレーに集中できるっていう点では、非常にリズムに乗っていきやすいなというのが、個人的にはありました。突然変なことをおっしゃることはなく、全部目の前で起こっているプレーに関連しているので予測可能なんですよね」

 オランダ選手について「11番誰ですか?」「身長どれくらいなんですか?」という様々な質問にも即座に対応。視聴者から称賛されたが「それはいつものことなので。NHKのアナウンサーはみんなできることですから」と謙遜した。

「意識したのは、相手あってのゲームだということ。代表戦はとかく日本代表のことに意識がいきますし、日本代表を軸に伝えるのですが、勝負なので、相手のことも伝えたいなと。それから、事前に本田さんがあまりオランダのことはご存知ないとおっしゃっていたので、本田さんにお伝えするような意識で臨めばいいのかなということは考えていました。本田さんの狙いだったのかは分からないですけど、それが視聴者のみなさんにお伝えすることにつながったのかなと」

 それではあの場面はどうだったのだろうか。本田がオランダ代表のキーマンとなっていたFWコーディ・ガクポについて、「1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」と視聴者に注意を呼びかけたシーン。すかさず小宮山アナが「4は誰ですか?」と問いかけた場面は、SNSでも大きな話題となった。本田も後に自身のYouTubeで「4を聞いてくる小宮山さんがおもろいんですよ。彼がMVPでしょ。俺に4聞ける?」と感心していた。

「いや、でもあの私の問いは、安直じゃないですか。本田さんご自身も振り返っておられたと聞きましたが、本来は『1になんとか、2になんとか、3、4はなくて、5になんとか』じゃないですか。だからもう少し気の利いた返しができたとすれば、『4、5はなくて、6は何ですか』と聞けばよかったなと。本田さんは、大阪の摂津市出身。私は今大阪局に勤務していますが、関西の方は突っ込まれないことにものすごく悲しい思いをされるということを、大阪に3年住んで肌で感じてきたので。私は関東出身で、そういうことを言われてきたんですね。『今ボケたんやけど、冷たいな』みたいなことを。大阪でよくお叱りを受けてきたので、もしかしたらそういう経験が生きたのかもしれないですね」

放送席の隣で感じた「勝負勘」

 もうひとつ話題となったのは、後半43分の同点シーン。FW小川航基のヘディングが、MF鎌田大地の頭に当たりゴールが決まった直後に2人がハイタッチ。息の合ったコンビネーションを象徴する場面だった。「ディレクターからは、私たちに向けてカメラがずっと回っているということも伝えられてなくて、すごく恥ずかしかったんですけど」とはにかみつつ、舞台裏を明かした。

「ハイタッチは本田さんからですよ。さすがに自分からハイタッチにはいけませんよ(笑)。もちろん嬉しかったんですけど、あれは自分の中では結構反省で。結局鎌田選手のゴールを、私はきちんと見られてないんですよ。あの時に『鎌田のゴールだ』って言えていないんです。それをかなり反省していて、スローモーションにもう少し意識を配っていたら、もしかしたら気づけたかもしれない。振り返ってみると、ハイタッチした後に喜びを抑えてモニターに意識を向けるべきでした。そこは複雑な心境ではあるんです」

 元日本代表のエースの凄みも放送席の隣で体感した。後半43分のコーナーキック(CK)の直前に「そろそろいける気がする」と発言。直後に、日本の同点弾が生まれた。ゴールシーンでは自然と「本田さんの嗅覚」という言葉を添えた。

「やっぱりあの勝負勘ってすごくないですか。CKの直前に、確かに日本に流れは来ていたけれども、あのタイミングで言い切ってゴールが生まれるケースってはあまりないんです。ダンフリースに隙があると言い切って、そこから中村選手のゴールが生まれた。チュニジア戦もそういう予言のような発言があったというのは記事で見ましたし、やっぱりそういう勝負に対する感覚みたいなものがすごい。だってW杯で3大会連続でゴール決めているんですよ。それはもう伊達ではないというか、その感覚だけでこんなに喋れるんだということに驚かされましたね。突拍子もない発言に注目が集まりますけど、勝負の機微に、本田さんご自身が乗っかり続けていくから、おそらく見ている方たちも引き込まれるんだろうなと」

 大きな話題を呼んだオランダ戦の実況。本田圭佑の独自解説を引き出し、日本のサッカー熱を一気に高めた。だが自己採点を求められると、厳しいプロの顔を見せた。

「70点〜80点ぐらいですかね。そこまで会心の一撃みたいには思ってはいないですね。それはおそらくどんなアナウンサーでもそうだと思いますが。品質として変なものは出していないとは思っていますが、やっぱりゴールを正確に伝えられなかったので。結構減点としては大きいですね」

 日本時間26日に行われる第3戦のスウェーデン戦はNHKで放送される。今回は曽根優アナウンサーが実況を担当し、小宮山アナは現地スタジオの担当となる。今後も大会は続いていくが、再び本田とのタッグを期待する声は多い。

「日本が優勝を目標に掲げている以上は、とことん上まで行くところを見てみたい、サプライズを見たいですね。もちろん日本戦は思い入れもありますけど、実際どの国でもワクワクした気持ちでお伝えできます。W杯自体が憧れでしたので。本田さんだから(やってみたい)というのは特に強くはないです。解説の方には皆さんそれぞれの凄みと魅力がありますから。本田さんの独特の雰囲気はまたご一緒できたらなという思いはあります」

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



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