久保建英が絶賛した25歳「今の彼なら」 オプション起用も好プレー…森保Jが直面する「時間との戦い」

アイスランド戦を経て森保Jに残された課題とは?【写真:徳原隆元】
アイスランド戦を経て森保Jに残された課題とは?【写真:徳原隆元】

5日間の日程で行われるモンテレイ合宿

 5月31日のキリンチャレンジカップ2026アイスランド戦を経て、事前合宿地・モンテレイに移動した日本代表。5月27日のUEFAカンファレンスリーグ決勝、ラージョ・バジェカーノ戦出場のため、アイスランド戦を欠場した鎌田大地(クリスタルパレス)も合流した。森保一監督もようやく本番モードの調整に突入できる環境が整ったと言える。

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 現地6月14日に行われる北中米ワールドカップ(W杯)初戦のオランダ戦(ダラス)までは2週間弱。それほど余裕があるわけではない。直近のテストマッチで出た課題をしっかりとフィードバックしていくことが肝要だ。

 そこでアイスランド戦を振り返ってみると、まず気になったのが、前半45分で交代した遠藤航(リバプール)の状態だ。

 本人は「本当はもうちょっとプレーしたかったんですけど、ちょっと違和感もあったので。(左足首に)張りがあって、それがあると走るときにも左右差がある感じなので。プレーが全くできないという意味ではないんですけど……」と試合後に説明していたが、完全復活には至っていないのは事実だ。

 持ち味であるデュエルや対人の強さ、ボール奪取力があまり出ていなかったのも懸念されるところ。2週間弱で強みを取り戻せるのか否か。慎重に見極めていく必要がありそうだ。

 その遠藤と代わって後半からボランチに入った瀬古歩夢(ルアーブル)が、ポジティブな印象を残したのは1つの朗報だ。瀬古とU-15日本代表時代から10年以上、共闘してきた久保建英(レアル・ソシエダ)も「今の彼だったらあれくらいのプレーは当たり前。ボールを狩り取れて、サイズもあって、足も伸びますし、なおかつ前にパスもつけられる。いいオプション以上の存在なんじゃないかと思います」と絶賛。近いポジションでやりやすさを感じている様子だった。

 ただ、瀬古を本格的にボランチ要員に組み込めるかという点については、時間との戦いになってくる。現状でのボランチのファーストチョイスは、合流した鎌田と佐野海舟(マインツ)で、さらに遠藤と田中碧(リーズ)がいるわけだが、瀬古はまだ鎌田、遠藤とは組んでいない。佐野、田中碧とも短時間プレーしただけだ。

 W杯本番のオランダ、チュニジア、スウェーデンとの真剣勝負の場で、急造コンビを使えるのかという部分についてはやはり不安はある。モンテレイ合宿では最終日の7日にU-19日本代表との調整試合が行われる見通しだが、その1試合だけで本当に計算できる形を見出せるのか。遠藤のコンディションも含め、ボランチの陣容についてはできる限りの時間を使って確認しておくべきだろう。

 2つ目の課題はシャドーの組み合わせ。南野拓実(モナコ)、三笘薫(ブライトン)が負傷離脱した左シャドーをどうするかというのはアイスランド戦の1つの注目点だった。森保監督はこの試合で伊東純也(ゲンク)を配置。左ウイングバック(WB)に中村敬斗(スタッド・ランス)、右シャドーに久保、右WBに堂安律(フランクフルト)という、現状で考えられる最強メンバーを並べて戦った。

 しかしながら、相手が引いて守ってきたこともあり、前半はかなり苦戦。中盤で変化をつけられる鎌田の欠場も響き、ゴールにつながりそうなシーンが少なかった。中村と伊東に久保が絡んで左サイドでは何度かいい崩しが見られたものの、堂安の陣取った右サイドの方は迫力がやや不足。左偏重の攻めになった点にはいい面、悪い面があったのではないか。

 後半頭からは、シャドーが中村・久保コンビになり、左WBが長友佑都(FC東京)、右WBが菅原由勢(ブレーメン)という並びに移行した。その結果、2シャドーが柔軟にポジションを入れ替えながら動き、そこに菅原が関与してチャンスを作るシーンが増加した。瀬古がボランチに入ったことで田中も前目に上がって、前半とは違った関係性が形成された。

 そして後半28分からは勝負布陣の【3-1-4-2】へ変更。小川航基(NECナイメンヘン)と塩貝健人(ヴォルフスブルク)が2トップに陣取り、後藤啓介(シントトロイデン)と佐野がシャドー(インサイドハーフ)に。その背後に瀬古が陣取るという攻撃的な形にシフトした。

「自分があの位置に入ると前に行く局面が多くなる。推進力は出せると思います。でも今回はあまり特徴を出せなかったし、全然ダメだったかなと思うので、次に切り替えてやっていきたいです」とイレギュラーな起用になった佐野は反省しきりだった。が、長身の後藤に佐野の推進力が絡むことで科学変化が起きそうな印象はあった。こうした新たなコンビを形にしていけるか。それが本番前の1つのテーマになってきそうだ。

 それはこの日、出番がなかった前田大然(セルティック)や鈴木唯人(フライブルク)にしても同じ。2人は日本代表のシャドーでプレーした経験が少ない。ゆえに、ぶっつけ本番で合わせていく必要がある。

 現メンバーの中で、シャドーで確固たる実績があるのは久保くらい。4日に25歳になる絶対的主軸が周りのよさをうまく引き出しつつ、多彩なコンビ確立に尽力していくことが強く求められそうだ。

 今のボランチの陣容を考えると、鎌田をシャドーに上げる余裕はあまりない。基本的には前半出た4枚と後半ジョーカー的に使われた後藤、佐野、そして前田と鈴木唯人の8人でベストな形を見出していくしかなさそうだ。そのディテールをモンテレイ合宿で徹底的に詰めていくことが重要になってくる。

 さらに、3つ目の課題として残ったのは高さ対策だろう。アイスランド戦を見る限り、相手の長身FWにビッグチャンスを作られる場面が何度か散見され、オランダ戦やスウェーデン戦に不安を残した。

 今回の日本は吉田麻也(LAギャラクシー)が下がった後、右から冨安健洋、板倉滉(ともにアヤックス、伊藤洋輝(バイエルン)という3バックで戦った。そして後半途中から冨安、渡辺剛(フェイエノールト)、伊藤の3枚へシフト。最終的には渡辺、谷口彰悟(シントトロイデン)、伊藤という3月のイングランド戦(ロンドン)の3バックでクローズした。

 このように最終ラインの組み合わせが変わる中、結果的に1-0と無失点で勝ち切ったのは評価していい部分。それでも、あと一歩でやられていてもおかしくなかったシーンがあったことはしっかりと受け止めるべきだ。細部にこだわり、ピンチを未然に防いでいくことで勝利の確率を引き上げる重要性については、谷口が日頃から口癖のように話していることでもある。

 その作業をモンテレイ合宿でも研ぎ澄ませていけば、失点リスクは減る。毎試合相手を完封できれば、W杯での躍進も可能になる。その意識を彼らにはより一層、高めてもらいたい。

 こうした3つのチェックポイントを突き詰めるのと同時に、コンディションを着実に引き上げられれば、いい状態で8日にベースキャンプ地のナッシュビルに入れる。モンテレイでの活動自体は3~7日の5日間しかないが、その5日間で最大の成果を得るべく、できることを全てやりきってほしいものである。

(元川悦子 / Etsuko Motokawa)



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元川悦子

もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

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