高卒→即海外へ…3戦連発の22歳「やれてる」 独で苦悩も掴んだ自信「A代表入るために」

カールスルーエの福田師王【写真:アフロ】
カールスルーエの福田師王【写真:アフロ】

カールスルーエの福田師王「最高のクラブですね」

 ボルシアMGからカールスルーエにレンタル移籍中の福田師王が、また一つ大きな階段を上った。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 今季序盤、福田はなかなか出場機会を得られなかった。途中出場すら限られる時期もあり、出場できない試合もあった。もどかしい時間を過ごしながらも、後半戦に入ると徐々にプレータイムを増やし、ゴールやアシストという結果もついてきた。

 31節ハノーファー戦からは4試合連続でスタメン出場。ゴールだけではなく、前線で身体を張ってボールを収め、周囲を使い、守備では鋭い出足でボールを奪う。スタジアムからは何度も拍手が送られていた。

 取材に訪れた32節ダルムシュタット戦後、アップの段階からチームメイトたちと笑顔で言葉を交わす姿が印象的だったことを伝えると、福田はにこやかに微笑みながら、こう話した。

「みんなよくしてくれます。いいクラブ。ピッチ外でもそうですね」

 ダルムシュタット戦では相手GKと1対1になる絶好の得点機があったが、上手くコースを消してきた相手に上手く防がれてしまった。本人も、「コースがあんまりなくて、ちょっと迷っちゃった。ああいうところは自分得意なんで、しっかり決めていかないといけないなと思いました」と反省の弁が口をついた。

 ただチャンスを外した場面でも、すぐに味方が声をかけに来ていた。直後に接触プレーで治療する選手が出ると、GKまでが福田のもとに駆け寄り、背中をポンポンとたたいて鼓舞。そんなチームの雰囲気について尋ねると、福田は迷いなく答えた。

「もう最高なクラブですね」

 この日の福田は、単にゴールを決めただけではなかった。前線でポストプレーの起点となり、味方が前を向いてプレーできる場面も多かった。裏へ抜ける動き、ボールの受け方、相手との駆け引き。その全てに、ドイツで積み重ねてきた時間が滲んでいた。

「感触はいいですね。ドイツに来て覚えた感じですよね。もともとフィジカル弱かったんで」

 かつての福田は、ゴール前の感覚や動き出しに優れたストライカーという印象が強かった。一方で、プロの世界で継続してポジションを掴むためには、ゴール以外の部分も求められる。この日は特に守備面での存在感も際立っていた。激しくプレッシャーをかけ、球際で身体をぶつけ、前線からチームを押し上げる。そのプレーには迷いがなかった。

「本当にやれてると思います。けどスタメンは久しぶりなんです。プロになって、メングラのころはセカンドチームではありましたけど、1部ではやれてなかったし、2部でスタメンから出るのは新しい感じなんで。楽しいっすね。やっぱ楽しくやれてます」

 言葉の端々から充実感が伝わってくる。

 福田はわずかなスペースに入り込む感覚、相手DFの視野から消える動き、こぼれ球への反応に優れたFWだ。だが、その武器を試合で発揮するには、周囲との理解も必要になる。そしてスタメンとして長い時間プレーすることで、その感覚もアジャストさせやすくなっているようだ。そう問いかけると、福田は笑いながらこう返した。

「そうですね。もう自分は動くんで、出してくれたらアシストもつくよ、みたいな感じでやってますし(笑)」

 その言葉通り、この日は周囲との関係性も非常にスムーズだった。動き直しを繰り返し、味方にパスコースを示し続ける。ボールが出ればゴールへ向かう。出なければまた動く。

 ストライカーにとって重要なのは点を取れない時間帯でも、動きを止めず、相手に脅威を与え続けること。その意味で、今の福田はピッチにいる間ずっと、ゲームに入り続けられるようになってきている。

「一度フル出場できたのは大きいですね。自信を持ってできているし。本当に試合もたくさん出られてるんで、今は。楽しいですね。もっと結果にこだわっていきたいなって思います」

 もっとも、本人は浮かれてはいない。試合に出れるようになったからといって、自身の取り組みが変わったりはしない。その目が見据えているのは、もっと先にある大きな目標だ。

「A代表入るために毎日トレーニング積んでますから」

 その視線は、すでに次のステージへ向いている。

 日本代表のFW争いは決して甘くない。だが、福田には独特の匂いがある。ゴール前で何かが起きそうと思わせる感覚だ。もちろん、課題も本人は理解している。

「やっぱフィジカルで収めるところだったり、ほんと1本チャンスあるやつを仕留めないといけないっていうのはありますね」

 どれだけ走っても、どれだけ献身的でも、最後に求めるのはやはり得点。そのために福田はシュートを打ち続けられる選手でもある。ボールをもらってから、シュートへ移行するのがスムーズで速い。さらにそのシュートがゴールを射抜く精度もどんどん高くなってきている。

「そうですね。ハリー・ケインもたくさんシュートして、外してる時もあるけど、でもやっぱり点決めるじゃないですか。チャンス作るっていうのも大事だと思います」

 ストライカーは外すことを怖がらないからこそ、点を取れる。失敗を恐れて消えるFWより、何度でも顔を出して打ち続けるFWの方が、最終的には相手にとって脅威になる。

 今の福田からは自分はやれるという空気がこれまで以上に伝わってくる。これまで、出場機会を得られずに苦しんだ時間も無駄ではなかったのだろう。フィジカル、守備、ポストプレー、味方との関係性。ドイツで求められるものをひとつずつ吸収しながら、ストライカーとしての幅を広げてきた。

「1試合1点は絶対決めたいですね」

 そう言い切った21歳のストライカーは、やっとプロキャリアにおけるスタートラインに立ったのかもしれない。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



page 1/1

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング