日本とセネガルにルーツ…プロ注目の逸材 J1練習参加で痛感「基準を合わせていかないと」

山梨学院の藤井サリュー「全てにおいてプロの基準に自分を合わせていかない」
4月4日に開幕した高円宮杯プレミアリーグと全国9地域のプリンスリーグ。ここでは、リーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回は、プリンスリーグ関東1部・第7節の流通経済大柏B対山梨学院の一戦を取り上げる。首位を走る流通経済大柏Bに対し、山梨学院は先制を許したものの、後半40分に右からのクロスをDF明石琉聖が合わせ、同点に追いついた。
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この同点弾をアシストしたのが、右サイドバックのDF藤井サリューだ。昨年から頭角を現し、プロからの視線も集めるスピードスターは、現在磨き上げているクロスで違いを生み出している。
「昨年は守備を評価されて試合に出られていたと思っています。対人で絶対に負けない、スピード勝負で負けないという部分を武器にしてきましたが、今年はさらに進化するために、もっとゴールに絡むプレーを増やしたいと思って臨みました」
日本とセネガルにルーツを持つ藤井は、鋭い反応と軽やかな身のこなしを武器に、1対1を制したり、裏への飛び出しを阻んだりと、ずば抜けた身体能力とスピードを守備で発揮してきた。攻撃面ではオーバーラップを得意としていたが、「クロスの精度が甘かったり、崩し切れなかったりと課題を突きつけられた」と、昨年のプリンス関東1部やベスト8入りを果たしたインターハイ、選手権を通じて不動のレギュラーとしてプレーする中で、自身の課題を痛感したという。
今年に入ってからは、徹底してクロスを磨いてきた。サイドハーフを追い越してスピードに乗った状態でのクロス、トラップからワンステップで上げるクロス、インナーを取ってからのクロスなど、バリエーションを増やしながらキックの質とタイミングを追求している。
流通経済大柏戦でのアシストは、まさに積み重ねてきた成果が形となった場面だった。右サイドでDF櫻井亮太のパスを受けた瞬間、顔を上げるとマッチアップしていたDFとの距離があることを確認。「ここは変にドリブルで抜こうとせず、そのままシンプルに上げた方がいいと思った」と、ファーストタッチからすぐにクロスの体勢へ入った。
「クロスを決断した時、すぐにコースは目の前にいるDFの右側を巻き込むようなボールを上げようと思いました。DFに当てないように、かつ高すぎず低すぎない、合わせやすいボールを蹴ることができれば、相手GKも前に出て対応できないし、中央かファーに味方が飛び込んでくれると思って足を振りました」
この言葉通り、藤井の右足から放たれたクロスはDFの右側を抜け、美しいアウトカーブを描きながらファーサイドへ。飛び込んだ明石にぴたりと合った。
「実は、あのアシストの20分前に右FKを得た時、岡西(宏祐)GKコーチから『高いと風で流れるから、高すぎず低すぎずの強いボールを蹴れ』と言われて、その通りに蹴ったら感触も軌道もイメージ通りだったんです。そのイメージを持って蹴ることができたのも大きかった」
練習の成果に加え、試合の中で得た感触をしっかり再現したからこその美しいアシストだった。スピードと対人の強さを兼ね備えたサイドバックは、「いつもイメージしているのは、味方が当てるだけで決められるクロスを送ること。当たったら入るようなクロスをイメージしています」と、新たな武器を努力によって磨き続けている。
成長著しい藤井に対し、Jクラブや強豪大学のスカウトが熱視線を送っている。すでに中学時代に所属していたジェフユナイテッド千葉の練習に参加したほか、J2クラブの練習にも参加している。
「プレースピードが圧倒的で、ポゼッションゲームや鳥かごでは全然ボールを奪えないですし、来るパスのスピードも速い。全てにおいてプロの基準に自分を合わせていかないといけないと思っているので、もっと質を上げていく努力をしていきたいと思います」
やるべきことはまだ多い。より貪欲に、より実直に。藤井は進化を遂げ、次なるステージへ進むために、自らの武器を磨き続けていく。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。












