強豪校エースがまさか…取材後に「練習に戻ります」 試合後もシュート打ち続ける理由

流通経済大柏の渡辺瞳也「上田綺世選手のような日本を代表して世界で活躍できる選手に」
4月4日に開幕した高円宮杯プレミアリーグと全国7地域のプリンスリーグ。ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回はプレミアEAST第2節・流通経済大柏vs横浜FCユースから。開幕戦で前橋育英を相手に2発と好スタートを切った流通経済大柏の背番号9・エースストライカーのFW渡辺瞳也について。プロ注目のFWは横浜FCユースに2-0で勝利を収めた後に、控え選手たちのシュート練習に混じっていた。
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「きょうは9番としての仕事ができなかった。シュートがもっとうまくならないといけないと改めて感じました」
試合後のユニフォーム姿のまま、一度シュート練習の輪から外れて取材を受けてくれた。勝利後とは思えない険しい表情を浮かべ、「きょうは本当に情けないとしか言いようがないです」と本音をこぼした。
ストライカーたるもの、ゴールという結果が生まれなければ悔しさは当然生まれるし、1点取ったとしても「もっと取れた」と他のチャンスをモノにできなかったことを悔やむ。ストライカーとはそういう生き物だ。
渡辺は昨年一気に頭角を現した。春先はセカンドチームでプリンス関東2部をメインに戦い、ベスト4に進んだインターハイでは2試合に出場。その後はセカンドで過ごしたが、10月19日のプレミアEAST第18節の青森山田戦でデビュー。182センチのサイズを生かしたポストプレーと、鋭いターンからの飛び出しを駆使して、榎本雅大監督の期待に応えると、この試合の後に行われた選手権千葉県予選では、ずっとエースを張っていたFW大藤颯太(東京ヴェルディ)を押し除けてスタメンの座についた。
そして選手権でも初戦から準々決勝までスタメンを張り、鹿島学園に0-1で敗れた準決勝は途中出場だったが、全試合出場を果たした。だが、そこで少しだけ納得をしてしまった自分がいた。
「昨年まではシュートを外してもメンタルが落ちることはなく、『次だ』とすぐに切り替えられていたのですが、3年生になって9番というストライカーの証の背番号をもらってからは決められないと少し焦りというか、技術ミスが気になるようになったんです。
それが昨年までとの大きな違いで、昨年の得点源だった大藤くんや金子琉久くんがいないなかで、僕が点を取らないといけないのでそこは大きな重圧を感じています」
3年生の自覚、エースの自覚、そして「みんなで点を取る」から「自分が点を取る」への意識変化。ストライカーとしての責務が渡辺のメンタリティーを大きく変えた。本物のストライカーになろうと心に決めた渡辺にとって、結果を残せなかった試合で納得をしているわけにはいかない。
「もちろん去年も点を取ることの重みは感じていましたけど、もう比べ物にはならないなと。もちろん苦しいときもありますが、それを超えられたら上田綺世選手のような日本を代表して世界で活躍できる選手になれると思います。上田選手とはサイズ(182センチ)は一緒で、海外では小さいほうに入ると思います。
それなのに上田選手はフィジカル負けをしないし、豪快にシュートを打ち込むし、ワンタッチゴールや一瞬で相手を外してのゴールなど、繊細なプレーも一級品。そこに憧れていますし、豪快さと繊細さは僕にとってのストロングでもあるので、今年は流通経済大柏の看板を背負って、ここ数年できていない全国制覇を成し遂げて、プロの世界に飛び込みたいと思っています」
すでに渡辺にはJ1、J2の複数クラブが関心を寄せており、高卒プロの可能性も十分ある。渡辺はもうプロになることが目標ではなく、『プロの世界で点を取ること』が目標になっているからこそ、そこに慢心は1つもない。
「きょうも得意な形でシュートまで持ち込めたのに、決められないのは大きな問題。今後苦しい展開でそれがチームにも影響を及ぼしてしまう。僕はFWなのにシュートが下手なのでもうやり続けるしかないし、シュートを打ち続けて成功体験を増やしていくしかないと思っています」
精悍な顔つきでこう語ると、「シュート練習に戻ります」と駆け足でピッチに戻って行った。黙々とシュートを打ち続ける渡辺の姿は、スタンドにいたJクラブのスカウトの目にもしっかりと焼き付けられただろう。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。





















