降格、選手権&インハイ予選敗退「どん底」 U-18日本代表の苦悩…自問自答で「自分が悪い」

市立船橋の篠崎健人「絶対に自信を掴むんだという気持ちで取り組みました」
4月の第1週から始まる高円宮杯プレミアリーグ、プリンスリーグ。開幕に向けて各チームは着々と準備を進めている。ここでは開幕に向けて気持ちを昂らせている選手たちを紹介していきたい。
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今回は船橋招待U-18サッカー大会で2位に輝いた市立船橋の186センチの大型サイドバック篠崎健人について。昨年、プリンスリーグ関東1部降格、インターハイと選手権出場の両方を逃した苦しい1年をセンターバックとして過ごして学んだこと、今年に懸ける思いとは。
「去年は1年間、本当に悩みました。どん底を味わったというか、いろいろなものが見えました」
その表情はより精悍になっていた。昨年は2年生のディフェンスリーダーとして最終ラインを束ねたが、インターハイ予選では準々決勝で専修大松戸に2-3の敗戦。選手権予選では準決勝で流通経済大柏に延長戦の末に3-4で敗戦。プレミアリーグEASTでも最下位になり、失点数は56とリーグワーストだった。
センターバックとして重要な試合で失点を重ねた。この結果は重く、篠崎は自問自答と削られていく自信をつなぎ止めるのに必死だった。
「勝てないということが一番苦しかった。いいプレーしても勝てなかったら、どうしても『自分が悪い』と思ってしまったし、失点が重なるとどうしてもセンターバックが関わってしまうので、自分に自信がなかなか持てなかったんです」
それでも篠崎が精神的に踏みとどまることができたのは、市船に入ってきた経緯が大きく影響をしていた。
千葉県浦安市出身だが、小学生の途中から鹿島アントラーズつくばジュニアに進み、そのまま鹿島つくばジュニアユースでプレー。そのサイズと将来性を買われてユースへの昇格の話もあったが、篠崎はそれを断って市船の門を叩いた。
「市船は僕にとってずっと憧れの存在でした。小学2年生のときにフクダ電子アリーナに市船vs前橋育英の試合を観に行って、そこからずっと『市船でサッカーがやりたい』と思っていたんです」
当時の市船は杉岡大暉(柏レイソル)、原輝綺(名古屋グランパス)、高宇洋(FC東京)、真瀬拓海(水戸ホーリーホック)、金子大毅(ジュビロ磐田)とタレントが揃い、インターハイ優勝を成し遂げたチームだった。試合結果は0-0のPK戦の末に敗退だったが、篠崎少年の目には大観衆のなかで躍動するブルーのユニフォームが眩しく見えた。
「ずっとあのユニフォームに袖を通したかった。あのユニフォームを着て、大観衆の前でプレーすることを常に思い描いていた」と、強い憧れと意思を持ってやってきた。
だからこそ、「市船に来て間違いだったなんて絶対に思ってはいけないし、自分の決断はずっと誇りに思っています」と口にしたように、どん底を味わいながらも、篠崎は自身の決意を正解にするために、何より「市船はこんなところで終わらない」という意地を持ち続けていたからこそ、自信こそ失いかけても絶対に折れることはなかった。
「僕のなかでピッチに立っている時点で、『チャンスをもらえている立場』だと思っているんです。だからこそ、どんな試合でもこのユニフォームを着て戦っている以上は、絶対にこの時間を無駄にしてはいけないと1年間ずっと考えていました」
この真摯な姿勢と努力を重ねる姿は、周りからも一目置かれていた。チームメイトやスタッフからはもちろん、昨年はU-17日本代表としてU17アジアカップに出場。その年に行われたU-17W杯には落選をして出場できなかったが、年末にはU-18日本代表としてSBS杯に出場。さらにU-17日本高校選抜にも選ばれて、活躍をして見せた。
「あれだけ結果を出せていなくても、年代別代表に選んでもらって、2年連続で選手権出場ができていないにも関わらず、高校選抜にも入れてもらった。感謝の気持ちもありますし、選ばれるのはきちんと理由があるからこそだと思ったからこそ、そこで自分が自信のないプレーをしていたら、選んでくれた人たちに示しがつかない。その想いに応える、絶対に自信を掴むんだという気持ちで取り組みました」
苦しんだ1年を経て、篠崎は精神的に大きく成長をした。新チームとなった今年、右サイドバックとして船橋招待で力強いプレーを見せた。
「日本高校選抜で右ウイングバックを初めてやったのですが、すごく学びが多かったんです。(日本高校選抜の)鈴木勝大監督から前からのプレスを徹底的に教え込んでもらって、運動量と責任感をもってアップダウンすることで、自分の持ち味が生きると感じました。
僕はサイズの割にはスピードに自信があるし、前への推進力も武器にしているので、ウイングバックやサイドバックは自分にかなり合っている。昨年センターバックで波多秀吾監督から『1人で守れるようになれ』と言われて、守備は磨かれたと感じているので、それも生かしながらサイドバックとしてもっと質を上げていきたいです」
右サイドバックは中学時代に慣れ親しんだポジション。今年は巻き返しだけではなく、186センチの高速サイドバックとして、新たなステージに駆け上がる1年でもある。
「今年はプリンス関東で絶対に勝って、1年でチームをプレミアに戻したい。個人的にはインターハイ、選手権に必ず出場して、全国制覇を狙いたい。苦しんだ分、より自覚と責任を持って市船のために全てを注ぎたいと思います」
ずっと憧れ続けたユニフォームを着ることができるのもあと1年。後悔はないが、もっとその喜びを味わえるために、篠崎は市船サッカー部の部訓である“和以征技”を体現する男として、恵まれたフィジカルとスピードのすべてをチームのために注ぎ込む。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

















