監督は「頭が痛いじゃないかな」 代表離脱中に代役活躍…J2最強守護神がJ1で示した実力

FC東京の田中颯「このチームには、優勝に貢献したいという覚悟で来ました」
待望の出場機会が与えられた。今シーズン、徳島ヴォルティスからFC東京に加入したGK田中颯は、4月1日に行われたJ1百年構想リーグ第11節のFC町田ゼルビア戦に先発出場すると随所に好セーブを見せ、3-0の完封勝利に大きく貢献した。
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昨シーズン、堅守を誇った徳島で守護神を務め、全38試合にフル出場。19試合で無失点に抑えて、J2ベストイレブンにも選出された。J1クラブでも十分にレギュラーを務められるレベルの選手として注目を集めていたが、FC東京では韓国代表GKキム・スンギュに正GKを譲り、出場機会を待ち続けてきた。
そしてキム・スンギュが欧州遠征を行う韓国代表に招集されていたこの試合で、ついにJ1のピッチに立つ機会を得た。キム・スンギュが代表活動でチームを離れ、自身が出場する可能性が高かった2位と3位の首都クラブ対決に向けて「重要な局面で町田と直接対決という形になったので、絶対に勝ち点3を取りたかった」と意気込んでいた田中は、前半29分のFW藤尾翔太の決定機や後半3分のMF林幸多郎の決定機を防ぎ、町田の攻撃を完封した。さらに悪天候のなかで味方から処理の難しそうな強いボールや浮き球を受けても、確かな足下の技術を見せてビルドアップの面でも機能することを証明した。
新天地で初めてJ1のピッチに立ち、完封勝利を収めたにもかかわらず、試合後のミックスゾーンで田中は、まったく笑顔を見せなかった。「結果的に止めたのが良かったですけど、1試合を通して侵入されたり、相手に攻撃の機会を与えてしまうと、1年間を通じたら数字(失点数)に出てきてしまうと思うので、もう一回しっかり分析して、僕たちの攻撃の時間を少しでも長くやっていく必要があると思います」と、チームが向上する余地をより多く感じていたようだ。
この試合を総括しても「結果的に3点入りましたし、パーフェクトに思うような結果かもしれませんが、しっかり分析する必要がありますし、チャンスも作られているので、本当に優勝を目指すなら、もっともっと突き詰めてやる必要があると思います」と、浮かれた様子は一切ない。
もちろん、初出場で「パーフェクト」と言えるような試合ができたことに、嬉しさがないわけではない。「それ(嬉しさ)はもちろん、ありますよ」と言う。だが、「このチームには、優勝に貢献したいという覚悟で来ましたし、これからもっともっとチームとして良くしていきたいなと思います」と、目の前の一勝に喜ぶことなく、自身が移籍を決断した際の目標を達成するためにも、チームの課題に目を向け続けた。
とはいえ、この試合で指揮官の悩みは増えたに違いない。DFアレクサンダー・ショルツは、「0-0の時点で、極めて重要な局面で彼はピンチを防いだ。足下のクオリティの高さも見せつけた。今夜は、彼と(2ゴールの)佐藤恵允のどちらが、より良く眠ることができるかは分からないけれど(笑)、GKがクリーンシートを果たせたら、これ以上のことはないだろう?」とニヤリ。そして、「私が来てから、監督のローテーションの巧さは、このチームの強みだと思っている。全員が『チャンスを得られるかも』と思っているからね。でも、きょうの試合によって頭が痛いんじゃないかな。代表選手達が帰ってくるけれど、出場機会を得た選手達が良いパフォーマンスを見せたからね」と続け、キム・スンギュとMF佐藤龍之介が不在だった一戦で、チームの選手層の厚さが確認できたことへの手応えを口にした。
町田とは中3日で再び対戦する。この試合を受けて、松橋力蔵監督がどのようなラインナップを組むかも興味深いところだ。















