負傷離脱の久保建英は「酸素ボンベ」 古巣を相手に躍動…現地記者が語る“激変”の理由

「何よりも信頼の問題」 監督交代後の久保の変化をスペイン人記者が分析
レアル・ソシエダの久保建英は、昨年末に就任したペッレグリーノ・マタラッツォ新監督の指揮の下、調子を上げていた矢先に負傷したことで、長期離脱を強いられる可能性が出ている。
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久保は今季開幕戦でバレンシア相手に初得点を決めた後、昨年9月のメキシコ戦での左足首負傷の完治に2か月かかったことで苦しい時期を過ごし、次のゴールは2025年最終戦まで待たなければならなかった。
セルヒオ・フランシスコ監督に率いられたチームも並行して不振を極めた。ラ・リーガ開幕からの8試合でわずか1勝しかできず、降格圏内の19位まで低迷した時期もあったが、奇しくも久保の負傷欠場中に回復の兆しを見せ始めた。今季加入したゴンサロ・ゲデスの活躍により、現地では久保のレギュラー降格の危機が囁かれるまでになっていた。
この状況は監督交代後、大幅に改善されることになった。セルヒオ・フランシスコ監督指揮下での久保の公式戦成績は14試合(先発9試合)、845分出場、1得点1アシスト。それ以降の6試合はすべて先発し、538分出場、1得点2アシストと、調子が上向いていた。
ジョン・アンソテギ暫定監督が指揮を執った2025年最後のレバンテ戦では、公式戦15試合ぶり(ラ・リーガ14試合ぶり)にゴールを決め、今季初のマッチMVPに輝いた。そして、新監督のマタラッツォ初陣となった新年最初のアトレティコ・マドリード戦では同点弾をアシストして2度目のマッチMVPを獲得。続くヘタフェ戦でもアシスト記録と、悪いイメージを完全に払拭した。
ラ・リーガ第20節バルセロナ戦の取材に訪れていたスペインのラジオ局『カデナ・セル』でレアル・ソシエダの番記者を務めるウナイ・カンテロ氏は、その要因を次のように話してくれた。
「何よりも信頼の問題だと思う。監督によって選手のパフォーマンスに浮き沈みがあるのは致し方ないことだ。マタラッツォの監督就任後、久保は大きな信頼を得て、間違いなく調子を上げている。セルヒオ・フランシスコの時は怪我の影響もあり、持ち味のドリブルを生かせていなかったし、ボールの集まりも悪かった。今は特に内側に切り込む際、大きな違いを生み出し、相手に脅威を与える存在となっている」
続いてカンテロ記者はマタラッツォがチームにもたらせた効果について、次のように分析した。
「精神面の変化が非常に大きいように思う。新監督はセルヒオ・フランシスコの時よりも、最後まで信じ続けることを選手たちに叩き込んでいるように感じているよ。今のチームは何をすべきかがより明確だ。より縦に速く、久保やゲデスのサイドを起点によりダイレクトにプレーしている。バルサ戦でも証明された通り、そこに少しの運が味方して、非常に効果的なプレーをするチームになっている。マタラッツォはラ・リーガ3試合で勝ち点7を獲得し、国王杯では準々決勝に進出した。これは申し分ない成果だよ」
劣勢ながらも2-1で勝利を収めた首位との一戦は、バルセロナがスーペルコパ優勝、公式戦11連勝、ラ・リーガ9連勝と勢いに乗った状態でサン・セバスティアンにやって来た。強者のサッカーに対し久保は守備に追われる時間が長くなったが、そのパフォーマンスをカンテロ記者はポジティブに捉えている。
「久保は今日、攻守にわたりいい試合をしてくれた。彼がボールを持つと、他の選手にはない特別な何かを感じさせてくれるし、インサイドでプレーした時はオヤルサバルと非常にうまく連携できていたので、最後までプレーできなかったのは残念だった。特にバルサのような強豪と対戦する際、彼は酸素ボンベのような重要な存在になれると思う」
残念ながら久保はこの試合で予期せぬアクシデントに見舞われ、後半に負傷交代を余儀なくされた。カンテロ記者はその倒れ方から非常に悪い印象を受けたと話す。
「肉離れの可能性が高そうだ。ハムストリングかどうかは分からないが、担架で運ばれたため状況は良くないだろう。少なくとも1か月から1か月半、ラ・レアルは久保なしで戦わなければならないかもしれない。これから重要な試合が続くので、チームにとっては大きな痛手となる」
クラブはこの翌日、左足ハムストリング負傷と発表するも、復帰時期を明らかにしていない。現地では「全治3週間」や「全治1〜2か月」、「ラ・リーガ3試合と国王杯準々決勝の欠場」など、さまざまな情報が飛び交い不透明な状況だ。ワールドカップ開幕まで5か月を切る中、チームのために早期復帰を願う気持ちと、日本代表のために焦らずに完治させて欲しいという気持ちが交錯する。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。



















