独1年目で定位置掴んだ代表MF「日本と全然違う」 指揮官も評価した23歳の現在地「もっと出したい」

ザンクトパウリでプレーするMF藤田譲瑠チマ
日本代表MF藤田譲瑠チマがドイツ・ザンクトパウリに活躍の舞台を移して半年近くが経った。今冬にはJ1アビスパ福岡から日本代表DF安藤智哉の加入も決定。13年ぶりに1部昇格したクラブで試合を重ねるごとに評価を高めている。
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ベルギーリーグからブンデスリーガへ来て全試合でスタメン出場を飾っている藤田は、ブンデスリーガについてどのような印象を今持っているのだろう?
「やっぱり全体的なレベルがベルギーよりも高いっていうのは感じます。全体的に上手いです。けど、そんなに衝撃を受けるとかっていうのはないですね」
開幕戦で強豪ドルトムントに3-3で引き分けたザンクトパウリは、3節まで2勝1分けと好スタート。今季は結構いいんじゃないかとファンが喜んでいたのもつかの間、4節から13節まで10連敗と完全に迷い込んでしまった。
出口がなかなか見えないなかで様々なトライをするチームは、11節のウニオン・ベルリン戦から中盤の構成をアンカー+インサイドハーフ2枚に変更。それまでダブルボランチの一角としてプレーしていた藤田は、守備でのハードワークそのままに、攻撃面でよりゴール前に顔を出す頻度アップが求められている。
この布陣に変更してから少しずつ調子を取り戻し、12月はカップ戦2回戦でボルシアMGを下し、14節ハイデンハイム戦ではリーグ11試合ぶりに勝利をあげた。
15節アウェイでのマインツ戦は、相手に良さを出させないように守備的な戦いで引き分けに持ち込み、勝ち点12の16位で冬休みに入っている。
昨季のザンクトパウリは失点数41と、優勝したバイエルンに次ぐ守備の固さを誇っていた。今季はそこへオフェンス力を加えてのバージョンアップを試みたが、その過程で本来強みだった守備が揺らいでしまったところがいただけない。そして迷いながらプレーしているときが一番結果も出にくい。
「守備のところでの共通認識は失点が多い中で積み重ねてきたというか、また一から始めた部分ではあります。そういったところは、連敗中に比べて良くなったのかなと思います」
マインツ戦後に藤田はそう振り返っていた。原点を見つめ直し、やるべきことを整理できてきたのは収穫だろう。一方でオフェンス面はまだまだ課題を抱える。チームとして守備にハードワークをして、ボールを奪ったら素早く前線にパスを供給という戦い方をしているので、なかなかボールが落ち着かない。
ブレッシン監督が求める課題
自分達でボールを保持する時間が限られているので、チャンスを増やすのは簡単なことではない。そんななか、藤田のところへボールが入ると、次へのつながりが生まれることが多い。
監督のアレクサンダー・ブレッシンは「常にいいボール奪取をし、彼の持つ低い重心で競り合いにも強い。アグレッシブな運ぶドリブルもある」と、そんな藤田のプレーを評価している。立ち位置が前目になったことでチャンスに絡む頻度もアップ。シュートに持ち込むシーンもある。
マインツ戦であった2度のシュートチャンスについては藤田は次のように振り返る。
「正直1本目は左足に持ち替えた方が点決めれる可能性は大いにあったかなと。そこは悔やまれるところ。2回目のチャンスは相手もいいディフェンスでしたし、感覚的には結構ボールの芯を捉えたボレーではあったので、相手がいなかったら得点になってたんじゃないかなと思います。まあ、たらればになりますけどね」
守備バランスはまた安定してきているだけに、チームとしてはやはりアタッキングサードでの精度アップとチャンス頻度を増やすことが重要になる。そして中盤の選手として藤田に求められているのは得点もそうだが、その前にまずチャンスメイクでのクオリティだ。
ブレッシン監督は藤田のプレーをほめながらも、「ただラストパスを送るところ。ここがまだ欠けているところだ」という指摘も口にしている。藤田はそうした自分へ課された役割はよくわかっている。
「今日の試合ではなかなか出すことできなかったんですけど、他の試合ではチャンスメイクができてると思います。そういった回数だったり、精度をもっと突き詰めたいなと思います」
シーズンはまだ19試合もある。残留争いから抜け出すためには、まだまだ厳しい試合を数多く乗り越えなければならない。ここからチームが勝ち点を積み重ねていくために、どのようなことへ具体的に取り組んでいきたいのかを尋ねてみた。
「やっぱり強度の部分はもっと出したいです。攻撃のところは今のまま続けていければ、数字は残ってくると思う。強度の部分はもうちょっと上げていきたいなと思います」
マインツ戦では日本代表で同僚の佐野海舟を吹き飛ばしてボールを奪取し、チャンスメイクに絡んだシーンがあった。局所的にも、試合の流れを変える意味合いとしても、そうしたプレーは重要になる。
「そうですね。そういう回数は増やしたいなと思います」
藤田もそういって頷いた。より効果的に、より高頻度でこうしたプレーを出すためには、さらに試合の流れに入り、アクションに絡んでいけるようになることが求められるだろう。
「ファンも熱くて、すごくいい環境でできてるなと思います。日本とは全然違って、全部のファンがすごい一緒に戦ってくれてるというか。そうした熱さとか、ブーイングの響き具合とかっていうのはすごい感じますね」
ザンクトパウリのファンにはドイツでも有名な熱狂がある。そんなファンのサポートをバックに、大きな刺激と喜びとともに藤田がさらなる進化を遂げていく。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。





















