昇格に欠かせない補強「強化部が仕事をしてくれた」 3年かけ積み上げた「大人になっていこう」

千葉の小林慶行監督【写真:徳原隆元】
千葉の小林慶行監督【写真:徳原隆元】

千葉の小林慶行監督がシーズンを振り返った

 ジェフユナイテッド市原・千葉がJ2リーグに降格した2010シーズン以降、代行監督を含めて10名の監督がクラブの指揮を執ってきた。その誰もが成し遂げなかったJ1復帰を就任3年目の小林慶行監督はやってのけた。

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 試合の総括を求められると、「ごめんなさい、あんまり覚えていないですね」と笑った監督は、「後半のところで圧力を受けてどうするかがポイントだったかなと思いました。普段からジェフのゲームを見ている方々には伝わったと思いますが、少しだけ今日は守備のところでバランスを取り、自重したところもありました。キャンプから積み上げて来た部分をしっかりだそうと共有しました」と振り返り、今日の試合で示せた過去2年との違いについて説明した。

「去年、一昨年は相手がどうこうじゃなく、自分たちがどういうサッカーをやるかを徹底的に出していこうと、あえてバランスを取らずに自分たちの特徴で、自分たちのストロングポイントで相手をねじ伏せられないチームはこのリーグで勝てない、上に行ってもすぐに跳ね返されると選手達と共有してメッセージを出し続けました。だからこそ、去年、一昨年はあっさりやられるゲームもありました。そのなかで勝負の3年目として、少しバランスを取って、一つ大人になっていこうということにトライしました。もちろん苦しい時間もありましたが、積み上げてきたものがあったので立ち返ることができましたし、自分たちがストロングとして持っていた部分と今季重点的にやったバランスを取る部分、それが最後の最後で、また生きたのかなと思っています。そういうゲームだったと思います」

 準決勝では0-3のビハインドから歴史的な大逆転でRB大宮アルディージャに4-3で勝ちきった千葉。その立役者となった17歳のMF姫野誠を、この試合でも0-0の後半21分に最初の交代カードとして切った。引き分けでも良い状況で、ともすればバランスが崩れてもおかしくなかったが、フクダ電子アリーナにパワーを送るために投入したカードだったと言う。

「まだまだ全然、時間もありましたし、ただ押し込まれている時間がすごくあったので。彼の個の力の部分で、自分たちがボールを持てる時間を長くできるかなというのもありました。あとは、スタメンで出ている選手がかなり強度の高い戦いのなかで疲労している部分もありましたから、パワーも入れていきたかったです。その両方がありましたし、一番はあの時間になると、スタジアムももう一回パワーを出すのが大変だと思うんです。でも、前回の試合があったあとなので、どこかで期待している方達もいると思ったので、スタジアムの雰囲気、ボルテージを上げることも狙いとしてあって、あの交代をしました」

 その交代から3分、千葉はFWカルリーニョス・ジュニオが決勝点を挙げて、昇格を手にした。3年にわたって積み上げることができたことを、昇格ができた最大の要因とした小林監督は、活躍した主力が流出することが多く、積み重ねていくことが極めて難しいJ2リーグで、なぜチームが積み上げることができたかを問われ、こう答えている。

「流出していく人間を最小限に食い止められていることと、新規で出て行く選手は仕方がない。去年で言えば、エースストライカーであり、リーグのMVPが流出していて、その前の年で言えば、自分が一番重要視していた10番がJ1に移籍した」と、昨シーズン23ゴールを挙げたFW小森飛絢と、一昨年のMF見木友哉の流出を振り返り、「そういう時に強化部がしっかり仕事をしてくれた。それが一番だと思います」と、今季で言えばJ1の清水エスパルスを退団していたカルリーニョス・ジュニオを補強できていたことを挙げた。

 そして「それプラス、個の成長。在籍している選手達の個の成長。新しい選手達との化学反応。それはトライの連続ですが、一方で絶対にブレない幹もある。うまく枝葉の部分の変化がありながらも、やりきれたのではないかなと思います」と、締めくくった。

 来季以降については「何も見えない」と、自身の去就を含めて濁した小林監督だが、16年間J2でため込んだ力を、どのように爆発させるか、楽しみなファンは多いはずだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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