柿谷曜一朗が迎える引退試合「台本のないダービー」 継承したい背番号8の伝統「見せつけたい」

柿谷曜一朗氏が引退試合を迎える
昨季限りで現役を引退した元日本代表FW柿谷曜一朗氏の引退試合が12月14日、セレッソ大阪の本拠地・ヨドコウ桜スタジアムで行われる。この一戦は「ABEMA」で無料生中継されるなか、柿谷が「FOOTBALL ZONE」の取材に応じ、引退試合への思い、見どころなどを語ってくれた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真)
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
◇ ◇ ◇
徳島ヴォルティスに所属した2024シーズンをもって現役を引退した柿谷氏。引退後はJリーグをはじめとする解説業で活躍し、日本テックボール協会のプレイング・アンバサダー・オブ・テックボール(PAT)に就任。引退後も「サッカー系文化人」としてサッカーに関わる仕事を続け、日本サッカー発展のために奔走する日々を送る。
そしてこの度、C大阪の本拠地・ヨドコウ桜スタジアムで引退試合が行われる。ピッチには柿谷氏が背負った「8」の文字が刻まれ、C大阪で共闘した名選手が勢揃い。対戦相手にはライバル・ガンバ大阪を象徴する名手たちが名を連ねる。
2025年1月23日に行った引退セレモニーで柿谷氏が仰天プランを明かした。「すごい構想があるんですよ」と切り出し、「レジェンドVSフレンズみたいな形じゃなくて、大阪ダービーでやりたい。満員になる自信あるんで」と大阪ダービーの引退試合を展望した。
ついにその言葉が実現することになる。12月14日に「THE LEGEND DERBY YOICHIRO KAKITANI LAST MAGIC」でC大阪とG大阪の歴代名手が勢揃い。「OSAKA PINK」と「OSAKA BLUE」のチームに分かれて火花をちらす。
両チームの監督は、発表された出場選手のなかに紛れている。「OSAKA PINK」は西澤明訓氏、「OSAKA BLUE」は本田圭佑氏がそれぞれ監督を務める。柿谷氏は当初、「OSAKA BLUE」の監督に遠藤保仁氏を依頼しようとしていたという。
「本当は最初にヤットさんにお願いしようと思っていたんですけど、ヤットさんはあまりにも優しいので、多分勝たせてくれようとしてくれるんですよね。ダービーたるもの絶対勝つって言ってたとしても、ヤットさんは優しい。それに比べてじゃないですけど、本田圭佑さんは試合たるもの勝ちに来るので。という意味でも、どうぞ点とってくださいはいらない。本気で試合をしてくれる人を監督で選ぶのがいいんじゃないかと」
こう話した通り、今回の引退試合は本気の真剣勝負。柿谷氏自身も「0-0で終わる可能性もある」とバチバチの一戦になることを期待する。最大の見どころは「どちらが勝つかわからないというところ」と力を込めた。
「僕がゴールしたり、僕のチームが勝ったり、主役になったりっていうのが今までの引退試合の流れだったと思うんですけど、今回は一切ないので。僕がゴールできるのかもわかりませんし、そもそも0-0かもしれませんし。本当に台本のない大阪ダービーが最大の見どころかなと思います」
今回の引退試合では、C大阪の代表取締役社長を務める森島寛晃氏を始めに、MF香川真司(C大阪)、MF清武弘嗣(大分)、MF乾貴士(清水)といった、クラブの象徴と言われる背番号「8」を背負ったレジェンドが集結する。近年のJリーグでは1番から99番まで選択肢が増えたこともあり、柿谷氏はこの伝統の8番が「どれだけ偉大なのかというのを子どもたちに見せたい」と、強い思いを話す。
「森島さんから始まって、今までつけたのがこの5人しかいないんだよっていうのを、セレッソのジュニア世代の子どもたちにも見せつけたい。やっぱりこの先、C大阪で8番を背負う選手たちにこういう思いがあるということを繋げていきたい。そういうのを大事にしてほしいなと思うのが1番自分の思いとしてあります」
根底にあるのは子どもたちに、セレッソの「8番」の偉大さを感じてもらうこと。「今は東京に拠点を移して、なかなか大阪でサッカーする機会があまりないので。最後の勇姿というか、自分が育った場所で、最後のプレーを見届けてもらいたい」と、大阪で支えてくれたファン・サポーターへの思いも抱く。
対戦相手には現役選手がズラリ
対戦相手で楽しみにするのは昌子源。所属するFC町田ゼルビアでは主将を務める元日本代表には、「俺に点取られとったらダサいで」と直接、言葉を伝えたという。昌子以外にも現役選手が参戦するが、同チームの乾については「清水と契約が満了になって次のチームが決まっていないと思うので、これすごい大事なアピールになりますよ」と笑いながら、「本人も言ってました。だからすごくいいコンディションで来てくれると思う」と共闘を心待ちにした。
「OSAKA BLUE」には、昌子をはじめに現役選手がズラリ。MF井手口陽介(神戸)、MF小野瀬康介(湘南)、MF倉田秋(G大阪)ら、今季のJ1で第一線を戦う選手たちも出場する。「OSAKA PINK」にもDF西尾隆矢、MF香川真司(ともにC大阪)、MF山口蛍(長崎)といった名手も勢揃い。「僕より走れるメンバーを揃えた」と、現役選手に冗談半分の圧をかけるような言葉も残した。
この試合の戦術は「戦術:メッシ」を超える「戦術:柿谷曜一朗」。「メンバーにも言ってます。とにかく俺にボールを出せと。僕はもう前で待っとくだけなので」とゴールを決めるためのプレーに集中する構えだ。
「僕は90分間フル出場するつもりですが、途中で別にゆっくり休んでおくので(笑)。僕の引退試合なので、好きにやっていいと聞いているので。全然10人で戦ってもらう時間もあると思いますし。本当にメッシよりメッシやと思います」
現役さながらの華麗プレーにも「期待してもらって構わない」とキッパリ。引退した今でも、「ダービーには負けられない」という思いが柿谷氏からひしひしと伝わってくる。「LAST MAGIC」の一戦で、柿谷曜一朗がC大阪の伝統をつないでいくためにピッチを駆ける。












