眼前で相手に優勝を許すも「良かった」 苦しみ抜いた1年…屈辱の“光景”を「無駄にしない」

横浜FMは15位でシーズンを終えた
横浜F・マリノスは12月6日に行われたJ1リーグ最終節で鹿島アントラーズに1-2で敗れ、残留争いに苦しんだシーズンを5連勝で終えることはできなかった。結果的に眼の前で鹿島にシャーレを掲げられる姿を見ることになったが、キャプテンのMF喜田拓也は「質、強度ともに相手が上回っていた。スタジアムの雰囲気を含め、完全に力負け」と認めつつ、鹿島の選手達が喜ぶ姿を眼にできたことについて「良かった」と意外な感想を漏らした。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
すでにJ1残留も決め、4連勝と好調だった横浜FMはプレッシャーもなく、最終節で鹿島を大いに苦しめるのではないかと期待された。しかし、試合が始まると鹿島のワンサイドゲームとなり、横浜FMは試合終盤までシュートを1本も打てなかった。途中出場したMF天野純が鮮やかなループシュートで1点を返したが、1993年のJリーグ元年から、常にトップリーグに在籍している2クラブの力の差は明白だった。
鬼木達監督の下、シーズンを通じて優勝争いをしてきた鹿島に対し、横浜FMは一時最下位に沈む苦しい時期も過ごした。そうした苦しいシーズンの終盤に4連勝を記録したが、最後に優勝に王手をかけた相手の圧力を感じられ、悔しさを刻めたことは、今後の財産になると喜田は考えているようだ。
横浜FMの8番は、「今日、僕らは目の前で優勝を見ることになりましたけど、すごく良かったなと僕は思っていて」と言い、その理由を説明した。
「この最終節、彼らの優勝がかかっていて、たまたまかもしれないですけど、対戦相手が僕らでした。今日、この素晴らしい舞台は僕らが用意したものではありませんでしたが、これも運命だと思います。彼らはそこで勝ちきって優勝した。その姿を目の前で見て、もちろん悔しさはありますが、すごく良かったなと。やっぱりこれだけ最高のものなのだと目の前で見せてもらって、もう一回、その気持ちを思い出させてくれたのは、ある意味、すごく貴重だという捉え方もできると思うんです。
それも選手に共有しました。この悔しさをしっかり、つなげたいから。次は自分たちがあの立場に行くことをあきらめる必要はないと思うので。良いか悪いかは別にして、上と下の差がないリーグでもあるので、ある意味でどこにでも可能性がある。彼らも監督が変わって1年目で、それでここまで来た。やっぱりどこにもチャンスがあると捉えられるので、僕らは今年、残留争いをしましたが、全然あきらめなくていい。ただ、やらなければいけないことはたくさんあるのは間違いないので、今日、ここで味わった悔しさだったり、この景色を見られたことは、無駄にしたくない」
実際、鹿島と最終節まで優勝争いをしていた柏レイソルも、昨季は残留争いをしていた。9年ぶりの優勝に沸く鹿島を眼前にして、喜田のように来シーズン以降へリベンジの想いを強くできた選手がどれだけいるか。苦しみ抜いた2025シーズンを糧にできるかのカギとなるだろう。
(河合 拓 / Taku Kawai)




















