4回繰り返した「悔しい」 運命を感じた1年間…V逸後の本音「優勝できる計算だった」

小泉佳穂が優勝を逃した試合後に本音を語った
柏レイソルは12月6日、J1リーグ最終節でFC町田ゼルビアと対戦し、1-0で勝利した。逆転優勝のためには勝利が最低条件だったが、鹿島アントラーズが横浜F・マリノスに勝利したため、2位でフィニッシュ。MF小泉佳穂は「掴みかけた」とリーグ優勝に届かなかった悔しさを赤裸々に話した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真)
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試合のホイッスルが鳴り、ベンチの前で膝をつきしばらく地面を見つめた小泉。1-0で勝利したものの、逆転優勝とはならず2位に甘んじた。しかし、セレモニーを終えてミックスゾーンに姿を見せた時には、笑顔を見せながら記者陣に話をする姿が印象的だった。今季の充実感がうかがえるような瞬間も数多くあった。
試合終了はほぼ同刻だったが、スタンドの雰囲気で「鹿島が勝ってるんだろうなっていうのわかっていた」という。鹿島の勝利を改めてスタッフから聞き「だめかー、って。セレモニーの間も届かなかったなーっていう思いだけでした」と素直な思いがこぼれた。小泉はこの日の取材対応で「悔しい」を4度も繰り返した。
町田戦の決勝点はオウンゴールだったが、「自分たちのサッカーを貫けた」と胸を張る。それでも、「シーズンのどっかしらで落とした勝ち点がこう思い浮かぶので。すごく悔しい思いはありますけど。しゃあないっすね」とリーグ優勝を逃した悔しさを抑えきれなかった。
最終的に鹿島との勝ち点差はわずか「1」。小泉も「(優勝を)掴みかけてたと思います」とタイトルにあと少しのところまで近づいていたことを肌で感じていた。「勝ちさえすれば可能性が結構あるなと。最後5連勝、6連勝したら優勝できるっていう計算でしたが、届かなかったなという気持ちです」。優勝することから逆算してシーズン最終盤を戦っていた。
「なんかいける気がしてたんですけどね、いろんな状況を見てたら。それだけに悔しい」
振り返ってみれば、第34節のガンバ大阪に5-0で大勝した試合後に、「リアリティーが出てきた。今日で優勝も見えてきた」とチームの立ち位置を再確認した。そこから一気にチームは加速。サンフレッチェ広島とのルヴァンカップ決勝には敗れたが、総崩れせずに持ち堪えた。怪我人も多く、本職ではない選手がポジションを務めることもあったが勝ち点を積み重ねた。小泉はそこに「運命じみたもの」を感じていた。
「怪我人がこれだけ出たなかでも、これだけ戦えてるっていうのは、いろんな意味で歯車がこう噛み合って、縁というか運命じみたものを感じていたシーズンだっただけに、まあ悔しいなって」
この日は日立台に今季最多の1万4092人が来場。チケットも完売が続き、満員のスタンドから力をもらいながら戦い抜いた1年間でもあった。小泉は「応援してくださっている方々には楽しい思いをしていただけたかなと思うので、それだけで意味はあったと言えるのかな」と、新たに確立したスタイルと、貫いた姿勢が与えた影響を自分なりに解釈した。
「サッカーに限らずですけど、どこかで難しい時期が来て、自分たちのやり方に疑いをかけるような、時期とか瞬間っていうのがどうしても来るわけですけど。そういう時に、本当に背中を押してもらったので。そこに報いたいっていう気持ちはすごくあったので、悔しいですね、本当に」
感謝の気持ちを口にしながらも、結局最後に残ったのは「悔しさ」。ただ、いつまでも下を向いているわけにはいかない。小泉の目には進化を続け、先を歩く自分の姿が見えている。
「そこは結構はっきり見えてて、サッカーの解像度が高くなって、理解が深まってきてるっていう実感があった1年だったので。もっともっとサッカーを理解できるなって感じているので。まあそこですかね。サッカーをもっと知れたら、なんだろう…自分がいることでチームが勝てるように、そんな選手になりたいなと思ってます」
今季躍進したチームの中心にはいつも小泉がいた。柏の背番号「8」は自分の成長をチームに還元させながら、悲願のタイトルに向かって走り続ける。



















