「あれには勝てないという感じ」 自動昇格を逃すも…2年前との変化「ちょっと違う状況」

3位でJ1昇格プレーオフに進出した千葉、経験者が語った2年前との違い
J2リーグ第38節のジェフユナイテッド市原・千葉とFC今治の一戦で、勝敗を決定づけたのは前半31分にDF鈴木大輔が決めたヘディングシュートだった。
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前半11分という早い時間帯にFWカルリーニョス・ジュニオのゴールで先制した千葉だったが、そこからは今治に押される展開になる。そうしたなか、鈴木はセットプレーからヘディングシュートを決め、千葉はリードを広げた。
「本当に狙い通りだったと思いますし、(首位だったV・ファーレン長崎を上回るために)2点差以上が必要だったことで、準備も意識もしていました。相手が勇気を持つかなという時間帯に追加点を取れたのは、大きかったかなと思います」と、35歳のベテランDFは第3節のモンテディオ山形戦以来となる今季2点目のゴールを振り返った。
このゴールで前半を2-0で折り返した千葉は、後半に3点を奪って5-0と大勝。他会場の結果を待ち、J1自動昇格が達成されることを願ったが、試合前の3位は変わらずにJ1昇格プレーオフへと回ることとなった。
2010シーズンからJ2に居続ける千葉は、過去に5回、昇格プレーオフに進出している。しかし、2度の決勝での敗退を含め、一度もこの過酷な戦いを制すことができていない。直近の挑戦となった2023シーズンは、現在も指揮を執る小林慶行監督のもとでJ2リーグ6位でプレーオフ準決勝に臨んだが、同3位だった東京ヴェルディに準決勝で1-2の敗戦を喫している。
鈴木だけでなく、DF高橋壱晟、MF田口泰士、MF米倉恒貴、MF椿直起らは、このときのプレーオフを戦った経験がある。自動昇格を逃したものの、鈴木は「良いチームになっていたなか、ここ数週間は『もう終わっちゃうな』とけっこう寂しかったので。この仲間、サポーターとあと2試合ヒリヒリした戦いができるというのは、幸せなことだなと今は思っています」と、3位でシーズンが終わったことを知った直後の悔しさから切り替えていた。
そしてプレーオフに向けては「2年前は(リーグ戦終了後から)1週間空いて、練習試合をしたんですが、今回は空かない。来週できるという意味では、きょうの良いイメージのまま、しっかり準備して臨めると思います。試合、試合とできるのはリズムを作りやすいと思います。2年前のプレーオフのときは、僕らは同点でもダメで攻撃的に前へ、前へ出ないといけませんでした。そういう戦いは難しいなと思いましたし、それが今回はこの順位で(プレーオフを)迎えるので、2年前とはちょっと違う状況だと思います。今からしっかり戦い方のメンタリティを作らないといけないと思います」と言い、「ただ同点だと思ってOKだと試合をすると、(危険)っていうこともあるので、どういった気持ちで試合をしないといけないかはすりあわせたいと思います」と、続けた。
米倉も「引き分けでいいという状況の試合の難しさは知っています。だからこそ、初めてではないので、アドバンテージにできると思う。しっかり密な部分までこだわって、来週の練習はプレーオフ用の戦いを意識してやらないといけないと思います。ただ、フクアリ(フクダ電子アリーナ)で試合ができるのはデカいと思います。きょうも最高の雰囲気でしたし、うちに利があるし、その分やらなきゃいけない。3位だから引き分けでいいからと上の立場に立つのではなく、ただひたむきに勝ちに行けば、今年は行けるんじゃないかなと思います。5-0で勝っているんでネガティブになる必要はないし、ここからまた2週間、この仲間とプレーできることを幸せに感じて、あと2週間楽しみたい」と、気を引き締めつつも自信を見せた。
高橋も「前回(2023シーズン)よりも、今の僕たちは積み上がっているし、自信はある。3位というのはポジティブな要素だし。ただ引き分けでOKという戦い方だと、受け身に回ってしまうと思う。先制点を取りに行くのが大事だと思う。(2023シーズンは)ヴェルディがすごく強かったんですよね。過去を思い返しても、一番強い相手っていうくらい強かった。あれには勝てないという感じだった。でも、僕らが今、そういう立ち位置にあるんじゃないかと思います。きょうもボールを握られる時間もありましたが、粘り強く戦えたし、危ないシーンがあったわけでもない。そうやりながら、点も重ねられたので、自信を持っていいんじゃないかと思います」と、2シーズン前からの成長を強調した。
鈴木のゴールをアシストした田口は、「(自動昇格できず)ちょっと呆然としているというか、本当にこの1試合にかけていたので」と話したが、ここで自動昇格を決められなかったことへの葛藤を持っている選手がほとんどだろう。
プレーオフに、どういうマインドで臨むべきかは、米倉が口にしている。「本当に今週1週間も、めちゃくちゃヒリヒリしていました。選手としてはプレッシャーのかかる2週間にはなるんですけど、よく考えたら、これって本当に幸せなこと。サッカー選手としてこれを全力で楽しむべきだと思う。僕もいくつかこういう戦いを経験してきましたけど、あとあと振り返ったときに、充実した素晴らしい時期と思えるはずなので、今週もその気持ちでやっていきたいです」と、大きな注目が集まる決戦への想いを語った。
秋春制への移行に伴い、ハーフシーズンのJ1百年構想リーグが行われる来季。千葉がJ1に昇格すれば、消滅した横浜フリューゲルスを除くオリジナル10の全クラブが百年構想リーグと2026-27シーズンはJ1にそろうこととなる。歴史の転換点となるシーズンをJ1で迎えるか、再びJ2で迎えるか。千葉の選手達が、このしびれる戦いを楽しめていれば、望む結果はきっと得られるはずだ。




















