日本代表のチケットが高騰 価格変動性の導入…売り出し価格で買える“意外な方法”

ダイナミック・プライシングを採用している
日本代表戦のチケットが高騰している。10月はブラジルという大人気チームが最大収容人数約4万8000人の、比較的大きくはない東京スタジアム(味の素スタジアム)にやってきたから仕方がないことでもあった。
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しかし11月18日、最大収容人数6万7750人の国立競技場で行われるボリビア戦もそうそうに多くのエリアが売り切れている。それだけ日本代表の人気が高いということで、日本サッカー界にとっては喜ばしいことだが、そのぶんチケットの値段が上がっている。
「試合日程、席種、市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータ分析を基に試合ごとの需要予測を行い、需要に応じたチケット価格の変更を自動的に行うことで、購入者のニーズに応じた適正価格で販売を行う仕組み」という「ダイナミック・プライシング」でチケットの値段は大きく変動するようになった。そのため売り出し価格は決まっていても、人気があると値段はどんどん高くなる。
たとえばボリビア戦は最も安いカテゴリー5の自由席は売り出し価格が一般6800円、高校生4700円、小中学生が2700円だった。しかし現在(12日午後5時時点)は一般が1万6800円、高校生1万1700円、小中学生は6700円になっている。
指定席のカテゴリー1から3までもまだ席はあるものの、販売開始価格の1万7000円、1万2800円、1万100円の席が11月12日現在で3万4000円、2万6600円、2万800円と倍に膨れ上がっている。また当日行けなくなった人のためにファン同士でチケットを売買できるリセールの仕組みもあるが、これも現在流通している価格とほぼ変わらない。
なお、もっとも高い「選手と交流付き! ときめきシート」は1枚33万円。ラウンジ付きシートは3万1900円で売りに出され、すぐ4万100円の値が付いた。2人席から4人席まであるプレミアムシートは2万7400円で売り出され、4万3200円に。しかもこれらのシートはもうすべて売り切れている。
それにしてもチケットの値段はどんどん上がっている。来年のアメリカ・カナダ・メキシコワールドカップでは、決勝戦の値段がカテゴリー1で売り出し価格6730ドル(約95万円)、カテゴリー4で2030ドル(約30万円)。さらに「決勝戦に進出したとき、確実にチケットが買える権利」として強豪チームは999ドル(約15万円)、日本は599ドル(約9万円)で販売されている。もちろんこれは「チケットを買う権利」であって、チケット代は別にかかる。
実は日本にもこの「チケットを買える権利」というべきものも存在する。そしてFIFAが決勝のみを対象にしているのとは違って、1月1日から12月31日までに開催される日本代表のチケットを売り出し価格で買うことができる会があるのだ。
ただし、本来の目的は日本代表のチケット確保のために存在しているのではない。昔、日本サッカー協会の財務基盤が弱く、日本代表の合宿では選手たちの食事を日本代表監督が自腹で補わなければいけない時代があった。
そんな窮状を見かねて「日本代表選手の合宿でステーキを食べさせてやろう」とできたのが「日本サッカー後援会」だ。昔、日本代表OBは強制的に近い形で入会させられ、後輩たちの食費を出していたと聞く。
その「日本サッカー後援会」に入れば、日本代表の試合が優先有料販売される(ただし、すべての席で十分に余裕があるわけではないので買うときは注意)。それだけではなく、天皇杯、皇后杯、JFL、Fリーグ、日本女子サッカーリーグ、日本女子フットサルリーグ、全日本フットサル選手権大会、大学や高校の大会などを無料で見ることができる(各大会や試合で入れる人数に制限がある)。
そしてもちろん「日本サッカー後援会」はその会費の中から日本サッカー協会や関連団体に資金面の援助を行っている。昔のように食費にだけ消えることはないだろうが、日本サッカーに貢献することもできるのだ。
気をつけなければいけないのは、いつも会員を募集しているのではないという点だ。非公表の会員数が決められていて、会員数に達すると募集は締め切られる。2025年分はすでに終了しており、2026年分は11月中旬からスタートする予定だ。
チケットの価格高騰に対抗するためには、この「日本サッカー後援会」への入会を検討してみるのもいいかもしれない。昔は専用の入会用紙がオークションに出されていたこともあったが、今は「一般財団法人 日本サッカー後援会」のサイトから申し込みができる。
確かにこうやって日本サッカーの継続的なファンになってもらうことは重要だろう。しかし最後に1つだけ日本サッカー協会にお願いをしたい。せめて小中学生のチケットは、上限価格を設定してもらえないだろうか。親が「子供を連れて行こう」とすぐに思えるような値段にしておいてほしいと思う。
(森雅史 / Masafumi Mori)

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。





















