格下相手でも「4点取るのは難しい」 大爆発の30歳…元代表が感じた素質と特徴

【専門家の目|太田吉彰】「勢いに乗り出すと取りまくる選手」
7月8日に行われたE-1選手初戦のホンコン・チャイナ戦で衝撃的なデビューを果たした日本代表FWジャーメイン良(サンフレッチェ広島)。26分間で4得点という離れ業を演じたストライカーには残る中国戦、韓国戦でもゴールへの期待がかかる。昨季まで所属したジュビロ磐田時代のジャーメインを、解説などで知る磐田OBで元日本代表MFの太田吉彰氏が分析した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本代表として初めて放ったシュートがゴールネットを揺らした。開始4分、左サイドからのクロスを胸で落ち着いてコントロール。振り向きざまに豪快な左足ボレーで先制弾を叩き込んだ。太田氏はこの1点目を「デビュー戦にしては落ち着いていましたね。止めてから焦る選手も多いなか、プレッシャーも弱く、冷静でいられた。一度、前に行ってから後ろに引いてシュートを打つスペースを作っている。それで前を向いてプレーできる状況を作った」と、冷静さに加えてDFラインとの駆け引きを高く評価した。
その6分後に再び輝きを放つ。ファーサイドに流れたクロスに回り込み、滞空時間の長いヘディングで追加点。太田氏は「ボールが来てからですが、ディフェンスの背後を上手く取れている。高さと強さを見せられたゴール」と語る。川辺駿らとの絶妙な連携から、左足のコントロールショットでネットを揺らした3点目は「シュートの意識があるからこそのダイレクトプレー。チームとしても素晴らしい。形、アイデアはすごく好きでした」と、連携と個の技術の融合を絶賛する。
26分には、この日4点目となるゴールも決めた。ゴール前にしっかりと入り込み、冷静にフィニッシュ。「シュートを打てるところに入って来れる。自分が点を取れるポジショニング、どこにいないといけないか、どこで点を取れるかを分かっているからこそ。そのポジショニングを取れていたから生まれた得点」と太田氏は語る。
相手のホンコン・チャイナはFIFAランク147位と日本にとっては格下の相手だった。レベルの差は歴然で、太田氏も「この試合だけで評価はできない」としつつ「例えば、クラブの練習試合でカテゴリーがかなり下の相手とやっても1試合で4点取ることは難しい。それを代表デビュー戦でやったっていうのはすごい」と目を細める。
太田氏は、解説などで磐田時代にチェックしていたジャーメインの選手としての特徴を「点を取り出すと一気に取り出す。勢いに乗り出すと取りまくる選手で爆発力は本当にすごい選手。それに加えて守備能力も高いんです。チームの役割をしっかりやれる選手。寄せの速さもあるし、ファーストディフェンダーとしてチームとしての戦いも遂行できる選手です」と分析する。
期待値が高いからこそ、相手のレベルが上がっていく12日の中国戦、15日の韓国戦が大事になる。「彼にとってはここからの2試合が重要です。4得点はすごいですけど、香港戦だけでどうこうとは言えないというのは皆さん分かっていると思います。ここで結果を残せたのは大きいですし、新たなFWの出現は嬉しいこと。中国戦、韓国戦でも結果を残すことができれば、代表争いに入って来る可能性も出てくると思います」。
2026年の北中米W杯のメンバー争いに食い込んで来れるかどうか。30歳で代表デビューを飾った遅咲きの新星にとって、残る2試合が重要な鍵を握る。

太田吉彰
おおた・よしあき/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。












