カズの58歳シーズンが“特別な場所”で開幕「いい状態で行きたい」 最年長記録更新も「本調子は遠い」

JFL最年長出場記録を58歳109日に更新
JFLアトレチコ鈴鹿FWカズ(三浦知良、58)のプロ40年目が「開幕」した。カズは15日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われたY.S.C.C.横浜戦で今季初出場。後半37分に交代出場すると、アディショナルタイム8分を合わせて20分近くプレーし、2-1の勝利に貢献した。昨年11月24日のJFL最終戦以来の公式戦出場で、自身の持つリーグ最年長出場記録を58歳109日に更新。シュートを打つ場面はなかったが「勝ててよかった」とリーグ2連勝を喜んだ。
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カズがピッチサイドに立つと、スタンドが沸いた。過去2戦はベンチ入りしたものの出番はなかったが、この日は2-0とリードした場面で登場。FW福元友哉からキャプテンマークを受け取り、7か月ぶりに公式戦のピッチに立った。
山本富士雄監督からは「3点目を」と送り出されたが、シュートを打つ場面はなし。終了間際に1点を返されてからは「守って逃げ切ることを優先したために、前線までボールが来なかった」とカズ。トップ下の位置から引き、自陣でボールを追いかけまわすなど「守備優先」で攻撃で見せ場を作ることはなかった。
カズにとって、三ツ沢は特別な場所だ。17年在籍した横浜FCのホームで、日本リーグの読売クラブ(現東京ヴェルディ)時代から数多くの試合をしてきた。昨年12月には元チームメートの松井大輔氏の引退試合でプレーしたが、公式戦は横浜FC時代以来4年ぶりだった。
「いつもの試合と同じで、特別な思いはない」と話したが、慣れ親しんだ横浜で知人や友人も多く訪れるはず。横浜FC時代のファンも楽しみにしている。ベンチ入りし始めたころには「いい状態で三ツ沢に行きたい」と話すなど、やはり特別な試合だった。
Y.S.C.C.横浜の長嶺寛明監督は、横浜FCが高木琢也監督のもと初めてJ1昇格を決めた2006年に、コーチと選手としてともに戦った仲。同監督は「年齢に関係なく研鑽を続けている素晴らしい選手で、リスペクトしかない」。この日は決定的な場面を作られることはなかったが「勝負どころを知っているので、今もゴール前では怖い存在」と話した。
次戦は22日のホーム・ヴェルスパ大分戦、次々戦は28日のアウェー・FCティアモ枚方戦、7月いっぱい週1ペースでリーグ戦が続く。「本調子には遠い」というカズは、試合をこなしながら「調子を上げていきたい」と話す。まだまだリーグは3分の1を過ぎたばかりで残りは長丁場。カズの58歳シーズンもスタートしたばかりだ。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。