日本代表、初のW杯ベスト8へ「道具はすでに森保監督の手中」 英記者も認める「象徴」

英記者が見たインドネシア戦、三戸舜介や鈴木淳之介ら新戦力組も「安定したプレー」
森保一監督が率いる日本代表は6月10日、大阪・パナソニックスタジアム吹田で行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でインドネシア代表と対戦し、6-0と大勝した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏が、この試合を総括した。
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吹田スタジアムには、久保建英が何かをやってのけるという雰囲気があった。敗戦を喫した木曜日(6月5日)のオーストラリア戦の先発から漏れたレアル・ソシエダの男は、日本代表の試合のたびに真っ先に自分が先発リストに名前を連ねるべきだと示そうとしていた。
最初のホイッスルが鳴った瞬間から、24歳は試合を掌握してインドネシアの守備の深くまで攻め込んだ。アウェーチームは日本の象徴的な存在のスピードと創造性に抵抗する術を持ち合わせていなかった。
短時間の途中出場となったオーストラリア戦でも、久保は森保一監督が残りの最終予選のなかで、誰よりも脅威になる選手であることを示していた。
パースでのオーストラリア戦では、残り10分でゴールに迫る場面を作ったものの、サッカルーズの堅守を最後までこじ開けることはできなかった。一方で、インドネシア戦では彼のダイナミズムにより相手を圧倒した。
鎌田大地の巧みなフォローもあったが、このコンビはパトリック・クライファート監督のチームを翻弄し続けた。序盤から両者の間には大きな差があることは明白だった。
森保監督は再び自分のオプションを確認する機会を得た。今回の最終予選では、12か月後に開幕するW杯に向けてチームに割って入ろうとする選手にとってのトライアルとなった。
新人の中で三戸舜介は突出した存在だった。左サイドで巧みなプレーと機転を見せた。前半15分に鎌田の先制点へつながった彼のクロスは、パスの正確性だけではなく、その冷静さも示した。
鈴木淳之介は安定したプレーを見せ、瀬古歩夢はフィジカルの強いオーストラリアとの試合で起用された左よりも、センターバックとして完成度の高いパフォーマンスを見せた。
来年のW杯に向けて、日本代表は「本格的な強化に集中できる」
町野修斗のパフォーマンスも、6-0の勝利を引き寄せる鍵となった。後半13分にゴール前からゴールを決めたものの、このゴールは全般的なパフォーマンスに対して相応しいものだった。
25歳の町野は、この試合を通じてオーストラリア戦で日本の前線に欠けていた基準点の役割を果たした。確かに町野やチームメイトが直面した相手のプレッシャーは高いものではなかったが、彼らの狙いが阻まれる場面はほとんど見られなかった。
昨年末、ジャカルタで日本に0-4と敗れたインドネシアは、同国に由来を持つヨーロッパ生まれの選手を多く加えることでチームの強化を図ってきた。それでも、実力差は依然として大きかった。
指揮官はシン・テヨンからパトリック・クライファートに変わり、その変化が東南アジアの国にわずかな勢いをもたらしたものの、今回の一戦で両国のクオリティーの差が改めて浮き彫りとなった。
クライファート監督は10月に控える次の予選に向けて準備を進めることになるが、森保監督は来年の本大会に向けて本格的な強化に集中できる。そして、今年12月には組み合わせ抽選会が行われる。
今から2026年6月までの期間は、日本がこれまで超えられなかったW杯ベスト16の壁を突破し、さらにその先へと進むための貴重なトライアルとなる。新たな歴史を切り開くための道具は、すでに森保監督の手中にあり、久保がその筆頭である。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)

マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。