兄・海舟とは「話していない」 3学年差で初チームメイト、佐野兄弟が描く代表での“共演”「1人の選手として」

佐野航大はA代表の初練習に臨んだ
森保一監督率いる日本代表は6月2日、オーストラリア・パースで同国との北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選(5日)に向けて練習をスタートした。今回、初招集のMF佐野航大(NECナイメヘン)は兄・海舟と19年ぶりの兄弟選出となった。3学年差で“初”チームメイト。ボランチ、ウイング、トップ下……さまざまなポジションをこなすオールラウンダーはオランダで研鑽を積み、初のA代表入りを果たした。兄とは普段からサッカーの話で盛り上がるというが、代表の舞台では“兄弟”ではなく“選手”同士として切磋琢磨する。
毎週の土日は“無料”でサッカーライブ観戦 DAZNの「WEEKEND FOOTBALL」はコチラから!
「こっちに来て特に話していないですね。兄貴は兄貴でやっぱり1人の選手としてきているので、そういった意味ではやっぱりイチ選手としてこれから会話するのかな、と」
19年ぶりの快挙だ。佐藤勇人・寿人兄弟以来となる揃ってのA代表選出。「それも夢の1つだった」という佐野兄弟の新たな扉が幕を開けた。オーストラリア・パースで行われた初練習。同じチームではプレーしたことがなかったという2人は、時折笑顔を見せながらリラックスした表情で森保ジャパンのトレーニングに臨んだ。
「パスの質1つにしても今までやってきたところよりも断然レベルが高い。僕は初選出で全然余裕もないので、ここにしがみついていくだけ。もう自分のことしか考えていないです」
兄・海舟は昨年のアジアカップ以来、1年4か月ぶりとなる代表の舞台。航大はJ2だったファジアーノ岡山からNECナイメヘンへ移籍し、2シーズンを終えて初の招集となった。
「いろんなポジションができるのは1つの武器だけど、自分としてはやっぱり真ん中の上のほうでやりたいというのはある。その中でどう違いを出すか。やっぱり今いる選手と同じことをやっていても違いは生まれない」
今季からは兄がドイツ1部マインツへ移籍し、圧倒的なパフォーマンスを発揮した。ともに海外でプレーする佐野兄弟だが、航大にとって兄の存在は大きい。「間違いなく刺激になっている。自分が持っていないプレーを持っていたり、自分ができないことをできる選手。逆にそこでできないことをできる選手だとも思っている。日頃からサッカーの話だけ。バイエルンとやった時とか、試合を見て『すごいね』とか」。常に高め合って今につながっている。
ただ、勝負はここから。A代表に食い込むためにもサバイバルを勝ち抜き、生き残っていかなければならない。佐野兄弟が描く目標へ、今、スタートラインに立った。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)