選手権で彗星の如く現れ…強豪10番を背負った超逸材 「全然違う」監督も驚いた存在感

流通経済大柏の安藤晃希【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
流通経済大柏の安藤晃希【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

流通経済大柏の安藤晃希「攻撃への意欲だけではなく、チームを助けるプレーを」

 4試合ぶりに背番号10が帰ってきた。

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 プロも注目する流通経済大柏の3年生ドリブラー・安藤晃希。昨年度の選手権において、試合の流れを一気に変えるジョーカーとして彗星の如く現れ、一瞬のキレとスピードで相手を手玉にとって、2、3人と切り裂いていくドリブルは、会場に詰めかけた多くの観衆を何度も沸かせた。

 このインパクト絶大の活躍によって、彼は一躍世代注目の選手となり、今年は10番を託された。だが、開幕から足首の負傷が影響し、トップパフォーマンスをなかなか出し切れていなかった。開幕から3節まではスタメンだったが、第4節のFC東京U-18戦でスタメンを外れ、第5節の前に治療のためにメンバーから外れていた。

 復帰したのは先週のこと。テスト期間中ということもあり、コンディションは万全ではなかったが、市立船橋とのライバル決戦という重要な一戦のスタメンに名を連ねた。

「スタメンだと思っていなかったので、エノさん(榎本雅大監督)の信頼を感じました。流通経済大柏にとって、市船は絶対に負けてはいけない相手。正直、緊張しましたが、周りの選手たちやベンチが盛り上げてくれて、試合に入ることができました」

 左サイドハーフに入った安藤は、ワイドに開いてボールを受けてドリブルで深く侵入するだけではなく、守備時にはボールホルダーに激しくプレスに行き、低い位置でボールを受けると、そのまま相手陣内に運んでいくドリブルも披露。後者のドリブルはこの試合において、非常に効果的なプレーの1つだった。

「開始早々(前半4分)にうまく先制することができましたが、相手は市船なので、少しでも隙を与えて同点に追いつかれたりしたら苦しくなる。攻撃への意欲だけではなく、チームを助けるプレーをしようと思いました」

 突破力が売りの選手だが、この試合はボールを受ける場所、タイミングが絶妙だった。それは開幕から離脱するまでトップ下でプレーしていた経験が大きかった。

「トップ下では突破だけではなく、つなぐプレーや2トップを追い越していったり、2人の裏抜けのタイミングやポジショニングを見ながらの立ち位置やボールを受けるための細かい動きだったりが必要とされました。考えながらプレーをして、いざ今日、左サイドの本来のポジションになったときに物凄くやりやすさを感じましたし、中への関わりも出しながら突破のドリブルを出すことができた。ここは大きな発見になりました」

 試合は3-0の快勝。安藤は随所に光るプレーを見せたが、やはりコンディション面で万全ではないのは明らかで後半8分に最初の交代カードでピッチを去った。しかし、「やはり(ピッチに安藤が)いるのといないのとでは全然違う」と榎本監督が口にしたとおり、存在感は絶大だった。

 印象的だったのが前半38分のシーン。味方がPKを獲得すると、スタンドからは「安藤だ! 安藤が行け!」と部員たちから大きな声が飛んだ。

「その声は正直聞こえなかったのですが、ベンチからエノさんに『安藤!』と名前を叫ばれたのは聞こえたので、『はい、行きますよ!』と思いながら、ボールをセットしました」

 周囲からの信頼の証となるPKをきっちりと決めて、チームに貴重な追加点をもたらしたのだった。

「おそらくエノさんも思っていると思うのですが、僕がもっと2トップに絡めるシーンはあったと思います。3人目としてもっと効果的に絡むことができたら、相手にとってより怖いポジショニングを取れたと思うので、そこは反省して次の戦いに備えたいと思います」

 進化する赤い高性能ドリブラー。これからコンディションが上がってくれば、より切れ味と引き出しが増えたドリブルで観客を沸かしていくはずだ。これからも背番号10から目が離せない。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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