森保監督が望む「自由な移籍」 育成年代へ提言…日本は「コピペじゃ世界を超えられない」

森保監督が感じる課題は育成年代
追い求めるのは世界一。日本代表を率いる森保一監督が描く日本サッカーの未来図とは――。
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2026年の北中米ワールドカップ(W杯)へ向けて2期目を戦い抜く指揮官が、新コンセプト「日本サッカーの未来を考える」を据える「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じた。日本サッカーの発展に尽力する森保監督が感じる“課題”に注目。「普及」と「育成の強化」について語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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今の日本代表が目を向けるのは世界の頂点。来年行われるW杯での優勝だ。その大きな目標に向かって日々を過ごす中で、森保監督は日本サッカー全体も見渡す。過去、今、未来。それぞれに軸を置いて、自分ごとと捉えながら、課題にも向き合っている。
「やはり(課題は)普及と育成の強化じゃないですか。子どもたちがより『サッカーをしたい』と思う窓口をたくさん作るということ。育成の環境も、ヨーロッパや世界のトップからまだ遅れているところがあると思います。そこ(育成年代)があってこそのトップかなと思います」
日本サッカーの未来を担う次世代。そのさらに次の世代へ。欧州と比較するのはやはり育成の現場だ。
「例えばプロになる道筋としてジュニアユース、ユースの存在がありますが、本来はそこへ投資をして、いろいろな教育を受ける場やサッカーができる環境を作らなければいけません。今はトップチームに吸い上げる戦力でありがら育成するところに月謝を払って、選手たちは組織にいる。もちろん予算的な課題があることはわかっています。これからの話だとは思いますが、トップチームを最優先として作っていかなければいなかったところから、選手を育てていくための投資もおこなっていくことが必要かなと感じます」
トップチーム以下は部活動や街クラブ、各クラブのアカデミーなど様々な選択肢があるが、“月謝”の存在でその選択肢が狭まる可能性は出てくる。直近で解決できるわけではないが、近い将来での「投資」が成功すればトップチームだけでなく日本代表にも影響を与える。

目を向けなければいけない「移籍の自由化」
「育成年代のプレー環境が整備されればよりトップのレベルが上っていく。より競技人口を増やし、普及の窓口を広げてサッカーを楽しむ人も増やしていくことで、アスリートとしてのトップに繋がってくる形を作り上げていかないといけない。その中で競争に勝った人たちがたどり着く場所がプロであるということを整備しなければならないのかなと思います」
そこで目指すのは“日本流”の育成。森保監督は問題点の1つに着目した。
「ロールモデルがあったとしても“コピペ”じゃ世界を超えられない。ベースは取り入れながらも日本の良さを付け加えることで世界を超えていけると思う。例えば日本は、街クラブ、Jクラブに加えて中高体連、大学、学校体育もあって両輪で選手を育てられる。これは日本の良さだと思います。その中でプレー機会を増やすために、さらに選手の行き来があっても良いと思います。
1回決めた所属チームで3年間やり続けることで埋もれてしまう子がいるかもしれない。でも、他のチームへ行けば芽が出る事があるかもしれない。今はいろいろな利害関係が働いて移籍しづらい空気があるかもしれませんが、プレーヤーズファーストを考えると、やはり移籍がもっと自由になっても良いと思います」
例えば高校で数百人が在籍する強豪校に所属したとする。Aチームで出場することができなかった場合、3年間スタンド観戦で終わることもある。指揮官はもちろん「それぞれ自由はある」とした上で「別のクラブや学校に行ったら芽が出るかもしれない。違うレベルやカテゴリでやることで次の芽を育むことになるかもしれない。選手自身も充実感を持つという選択肢はあってもいいのかなと思います」と1人でも多くがサッカーに取り組み、楽しみ、高いレベルを目指せるような仕組み作りの可能性に言及した。
未来に向かって進んでいる今、日本サッカーはまだ発展途上だ。ここから強く、逞しく成長していく。育成も、日本代表も。その歴史をこれからも見守り、共に作り上げていきたい。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)