Jユース守護神&超進学校の“二刀流” 驚きの日常生活…文武両道は「相乗効果ある」

金沢U-18の元林隼太朗「中3から塾に行きはじめると成績がグンと伸びて」
プリンスリーグ北信越1部第5節・帝京長岡セカンドvsツエーゲン金沢U-18の一戦。試合前のメンバー表を見てから、金沢U-18のホームページのメンバー紹介を見ると、あることに気づいた。
ホームページには生年月日、身長体重、前所属のチームのほかに、現在通っている高校も記されている。それをざっと見ていると、2年生GK元林隼太朗に目が止まった。そこにはただ1人だけ「金沢泉丘高」と書かれてあった。
金沢泉丘高といえば金沢大学附属高と2トップを張る、県内トップの進学校でもある。2014年から文部科学省によるグローバル・リーダーの育成を図る「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」事業を開始するなど、全国的にも有名な高校だ。
超難関の高校に通う選手というだけでも興味が湧くのに、元林はチームの守護神。帝京長岡戦でも180センチのサイズと左足の技術を発揮し、シュートストップやビルドアップに非凡なものを見せ、2-0の完封勝利に貢献をした。
「今日は風が強かったので、DFラインとこまめに連携を取って、ボールを動かしてくる相手なのでマークの受け渡しだけはかなり意識をしました」
ハキハキと答える彼に金沢泉丘に進学した理由を聞いてみると、そこには確固たる文武両道の精神があった。
元林は小学校6年生で金沢のアカデミーに入ると、U-15、U-18と金沢一筋で育った。高校進学時もU-18に進むことに一切の迷いはなかったが、通う高校選びは相当悩んだという。
「最初はもう少し学力が下の進学校に行って、ツエーゲンでサッカーをすると考えていたのですが、中3から塾に行きはじめると成績がグンと伸びてきたんです。先生に『泉丘を狙えるぞ』と言われ、サッカーとの両立はかなり大変になると思ったので迷ったのですが、『狙えるなら最高峰を目指そう』と思って覚悟を決めました」
サッカーでも勉強でも全国トップレベルを狙う。そう決めた元林の意思は固かった。サッカーでは中3の夏の日本クラブユース選手権(U-15)では正GKとして決勝トーナメント進出の原動力となり、12月の高円宮杯JFA全日本ユース(U-15)に北信越第1代表として出場。この大会では出番はなかったが、チームは横浜F・マリノスジュニアユースに勝利し、ベスト16に進出した。
勉強面でも空き時間を徹底して有効活用した。朝は5時か5時半に起きて30分~1時間勉強してから登校し、休み時間も練習前後の時間も勉強した。努力の成果もあって一般受験で合格を勝ち取ると、進学後もこれまでと変わらぬ日常を送り続けている。
「入学してほっとしていられる時間はありませんでした。授業の進むスピードが本当に早いので、ボーッとしていると置いていかれてしまうんです。食らいついていかないといけないので、予習・復習はマストなんです」
授業が16時に終わると、学校の近くに練習場があるため、19時の練習開始までの1時間~1時間半は教室に残って勉強。練習後は家に帰って1時間の小テストを行う。練習がオフの月曜日に塾に行き、土日の試合が終わると、そのまま塾に直行し、22時くらいまで机に向かっている。
「毎日大変ですが、中学のときにどっちも頑張ると自分で覚悟を決めて入ったので、それを必死で貫くだけです。時間は限られているので、スマホをだらだらと見ている時間などを減らして、時間を大切に使うようにしています。あと、サッカーと勉強は集中力、思考力という面ではかなりリンクする。両方やることで、相乗効果もあると思っています」
彼が今、目指しているものはプレミア昇格と一般受験での国立大学への進学。もちろんトップ昇格も視野にある。これらの目標はサッカーと勉強をどちらも手を抜かずに全力にやり切った先にこそあるものだと理解しているからこそ、彼は今を全力で生きている。
得意科目は英語。今後、グローバルな人間になっていくために。サッカーと勉強を通して、彼は未来を力強く切り開いていく。
(FOOTBALL ZONE編集部)