「ガーナの父と日本人の母」U-17日本代表の逸材GK 強豪校で壁も…追いかける鈴木彩艶

流通経済大柏の丸山ジェフリー「僕の夢は世界に飛び出してプレーすること」
プリンスリーグ関東2部において、開幕から破竹の4連勝で首位を走っている流通経済大柏セカンド。この快進撃を支えるのが、4試合で2失点の守護神・丸山ジェフリーだ。
第4節の桐光学園戦、彼はずば抜けた反射神経を駆使したセービングと、90分間一切途切れることがない的確なコーチングとチームを鼓舞する声でチームを最後尾からコントロール。1-0のクリーンシートに貢献した。
「90分を通して味方がぼんやりしないように気を配っています。僕は心配症なので、味方の意識をはっきりさせるようにしていますし、シンプルに試合に勝ちたいので、声を出すことは当たり前のこととしてやっています」
彼が中学3年生のときに練習生として流通経済大柏の練習に参加していたのを見たことがある。そこでは高校生に対して中3とは思えないほど大きな声で的確なコーチングをして、積極的に周りとコミュニケーションを取る姿が印象的だった。入学してからもその姿勢は一切変わることなく、むしろその質や声量は確実に増している。
1年生ながらトップチームに帯同し、昨年はプレミアリーグEASTでは9月1日の第12節の尚志戦から3試合連続でスタメン出場。ついに守護神の座を掴むかと思われたが、第15節の前橋育英戦からこれまでセカンドでのプレーがメインだった3年生GK松本陸にポジションを奪われてサブに回った。それでも11月にU-17日本代表に初選出され、クロアチア遠征を経験するなど、まさに台頭のときを迎えた。
しかし、選手権では夏までレギュラーだったGK加藤慶太がポジションを奪い返し、さらに同じ2年生のGK藤田泰土が台頭してサブに入ったことで、丸山はスタンドで準優勝をするチームを応援するしかできなかった。
「なかなか現実をうまく飲み込めていないのが本音です」
苦しみながら迎えた最高学年となる今年度も、序列を変えられず、トップチームのゴールマウスを守るのは藤田で、丸山はサブに回っている。藤田の活躍もあり、トップチームは現在プレミアEASTで3勝1分の首位を走っている。
「悔しいのが一番ですが、かなり謙虚でいられている自分がいます。自分ができないとは全く思っていませんし、セカンドからファーストに戻れると思っているからこそ、足りない部分を補っていくことを大事にしています。今トップで出ている藤田はいいプレーができているので、来週すぐにプレミアに出られるかと言われたらそうじゃない。2週間後でも厳しいかもしれない。だからこそ、長い目を持って1か月後、2か月後にレギュラーを奪えるように、絶対に腐ったり、緩んだりしないで毎日を大事にしています」
この言葉通り、彼は悔しさを力に変えてセカンドチームの守護神として、与えられた場所でブレない信念を持って全力でプレーをしている。
「こうしてプリンス2部に出させてもらえていることは当たり前じゃないと思っていますし、僕のセカンドの守護神の座も決して安泰では無い。だからこそ、僕はチームの勝利のために必死にプレーしていきたいと思っています」
彼の言葉からは謙虚さだけではなく、とてつもなく強い意志を感じる。なぜそこまで強い気持ちを持てているのかを問うと、「僕には鈴木彩艶選手という憧れの選手というか、絶対的なお手本であり、目標の存在がいるんです」と口にした。
「彩艶選手はガーナの父と日本人の母とルーツが僕とまったく一緒なんです。ルーツが2つあるからこそポジティブな面もるし、逆にネガティブな面もあるのですが、僕は彩艶選手と同じルーツということ自体が誇りだし、そう感じさせてくれる彩艶選手は心からリスペクトするアイドルです」
試合前には鈴木のプレー集を必ず見て集中力を高め、彼にまつわるコラムやインタビューは必ず読んでいる。そのなかで浦和レッズ時代の鈴木の姿勢に大きな感銘を受けた。
「浦和では西川周作選手が絶対的な存在で、試合に出られない時期がたくさんあったにも関わらず、そこで謙虚に学び、自分と向き合って努力をし続けたからこそ今がある。彩艶選手はキックとセービング、佇まい、フィジカルなどプレー面だけではなく、物凄く謙虚な人というのを聞いていて、人間性も含めて全てをリスペクトしていますし、今の僕の姿勢にもつながっています」
今、思うような状況ではなくても、そこで真摯にサッカーに向き合い続けて、何を学べるか、どう成長できるかで自分の今後は決まってくる。
「僕の夢は世界に飛び出してプレーすること。今苦しくても最終的にそのステージに行ければいいと思っています。逆に今、こういう経験を味わえているだけでも本当に流通経済大柏に来て良かったと思えますし、自分を強くしてくれていると思っています」
いつ訪れるか分からないチャンスを着実に掴み取り、自分の夢へと突き進められるように。彼は日本の守護神として世界で活躍し続けるアイドルの姿を心に刻み続けながら、感謝の気持ちと危機感、向上心を抱いて全力で今を生きている。
(FOOTBALL ZONE編集部)