アジアの憂鬱 日本が強いのか、アジアが弱いのか

日本が強いのか? アジアが弱いのか?

イラスト④

図④
 次の図を見てもらいたい。これはW杯初戦のコートジボワール戦の日本の選手の平均ボールタッチ位置だ。1-4-2-3-1の陣形が跡形もなく崩れてしまっている。相手に主導権を握られ、自分たちのサッカーが出来ない時、自分の戻る場所も仲間との距離感も崩れてしまう。そういう意味では今の日本代表は自分たちの意図するサッカーが出来ているということになる。
 これまでデータを見ながら分析してきたが、Duelsに見られるように大きな課題はあるものの、今の日本代表の状態は決して悪くない。あのワールドカップブラジル大会の惨敗を受けて日本は目が覚め、疑惑の話はさておき新しい指揮官のもと強くなったのだろうか?
「そうだ!」という答えを出すのはまだ早い。それはこの大会に優勝しても、それでも早い。イラク戦の先発メンバーで先のワールドカップで選ばれていなかったのは乾だけだ。その乾はドイツでプレーしている。国内組は森重と代表150試合目を迎えた遠藤だけ。日本代表の選手の強化は残念ながら欧州のチームとそこでの実戦を通して行われていると言わざるを得ない。
 アジアのチームで11人中9人、しかも交代で次から次へと欧州組が出て来るチームは日本くらいだ。その日本を含めたアジアのチームが先のワールドカップブラジル大会で1勝も挙げられなかったのはアジアの進歩のスピードを超えるスピードで世界が進化しているからに他ならない。
 アジアの国々から見れば日本代表自体が欧州のチームと戦うようなものだろう。先のパレスチナ戦、この日のイラク戦ともに、相手チームは日本チームへのリスペクトからか、ボールホルダーに厳しいアプローチを殆どしてこなかった。また、横からのボールに対して自分のマークを見ていられる選手は殆どいない。攻撃においてボールホルダーと受け手の関係を超えた3番目の選手の動きを見ることも殆ど無かった。
 どんな雑音があろうとも、もはやこの大会で一番になることは次のステージに向かおうとする日本代表にとって当たり前なのかもしれない。 
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【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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