「日本サッカーは変わらない」JFA関係者が語る“危機” 海外で活躍するには「俺が俺が」の精神

コーチを務めた城和憲氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
コーチを務めた城和憲氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

18日に福島のJヴィレッジでトレーニングキャンプを開催

 日本サッカー協会(JFA)は10月18日、国際サッカー連盟(FIFA)が展開する「Talent Development Schemeプログラム」の一環で、ストライカーとゴールキーパーの育成を目的としたトレーニングキャンプを福島県のJヴィレッジでスタートさせた。

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 これまでもJFA主催で2006年からポジション別のトレーニングキャンプは開催していたが、昨年は開催されず2年ぶりの実施となった。過去のトレーニングキャンプには鹿島アントラーズで高校生ながらJデビュー&ゴールを決めているFW徳田誉や、ロアッソ熊本からベルギー2部のSKベフェレンに期限付き移籍をしているFW道脇豊も参加していた。

 このキャンプでコーチを務めるJFAのユース育成ダイレクターの城和憲氏は「全国各地域から推薦してもらったストライカーを16名集め、そしてキーパー6名を合わせて刺激をしっかりと与えていく。我々が14歳にターゲットを絞っているのは早すぎず、でも今世界に出たら17歳で活躍する選手のことを考えたら14歳ぐらいをターゲットにしたらどうだということでトライしている」と、開催するにあたっての経緯を明かした。

 今回は新たな取り組みとして、ストライカーとGKの2つのポジションを融合させることで、それぞれのポジションにとって有益なプログラムにすること、そして男女同時開催することで、日本国内における共通課題そして男女別の課題を抽出することで、国内での育成環境を更に発展させ、より国際競争力を有する選手を育成していくことを目指していくとしている。

「この3日間で何か劇的に変わることってなかなかないと思う。だけど我々はやはり決定力不足だとか、よくA代表を含めて言われるわけで、待ってても出てこない。育成の方から何かをやっぱり発信をしないといけないし、何か刺激を作っていかないといけないって考えたときに、少しでもこういったストライカーキャンプをきっかけにして選手が発掘されて、さらにレベルが上がってきて、それが出てくるといいなという思いでやっている」と目的にも言及している。

福島県のJヴィレッジでトレーニングキャンプ【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
福島県のJヴィレッジでトレーニングキャンプ【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

「何かを発信しないと日本サッカーは変わらない」

 初日は顔合わせなどもあり、選手たちは少し緊張した面持ちのなかスタート。軽いアップや立ち幅跳び、短距離のスコア計測から開始する。ボールを使ったシュート練習では、ドリル形式でのシンプルなシュートや、DFを置いてのシュート、さらにワンツーで抜け出しからシュートなど、ひたすらに反復練習をした。

「普段ってチームトレーニングになるとシュートを打つ機会が少ない。ポゼッションのトレーニングや、チームで動くことが多くなるので、今日はまずシュートをしっかりと打つ。本数もかなりの本数を打っているが、ここに特化しているのはやっぱりシュートを打つ、ネットを揺らす。そういったことにフォーカスしながら今日もトレーニングをやってきた」と練習の意図を語った。

 また、一番育てたい選手の特徴に「点取れる選手ですね」と挙げ、「日本のために点取れる選手を僕らは育てたい。JFAとしては育てないといけないと思ってます。やっぱり点を取ることの価値を僕らは高めたいなと思ってる」と力強く語った。

 その理由として、「やっぱり(日本人は)なかなか点取れない、要は守備頑張れるとか、ハードワークできるのももちろん大事だと思うんですよ。だけどやっぱり世界に行って、点取れるか取れないかってすごく大事なところだと思う。点を取るという価値観を本当に高められるような選手が出てきてほしい」と、FWとしてスコットランドで点を取る日本代表FW古橋亨梧などがいるものの、5大リーグで点を量産する選手がいない課題を指摘している。

「得点力不足って言っても、なかなかこのシュートだけをやる練習を週に1、2回やってるチームは本当に少ないと思う。でも僕らは何かを発信しないと日本サッカーは変わらない。発信をしてそれを感じた人たちがどうするか、また考えるきっかけになってくれればいいかなと思って今やっている。俺が決めるんだ、俺が決めるんだって選手をどんどん出していきたい」と最後に締めくくった。

 昨年はS級ライセンスの認定、今年4月にはU-18日本代表の監督を務めるなど、育成年代を支え、身近で見ている城氏にとって、A代表や世界的に見ても指摘される日本の課題を一番感じているのかもしれない。そう言葉の節々からメッセージ性を強く感じた。

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